韓国では、中年以上の男性なら平社員だろうがCEOだろうが商人からは「社長!(サジャンニム=社長さま)」と呼び止められる。日本でもよく使われるが、韓国の方が使用頻度は圧倒的に多く、最近では北朝鮮でもよく使われているという。ただし、その意味合いはかなり違う。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は次のように語る。

「商人が道行く人を『社長!』と呼び止めることはありふれた光景だ。新義州(シニジュ)の霞下市場に行くと、あちこちの売台(テナント)から『社長!いらっしゃい!ちょっと見てって!』と声をかけられる」

どうやら、それなりの格好をしている人を呼び止める言葉として「社長」が使われているようだ。

「社長!」と呼ばれた相手は、一瞬戸惑うが自尊心をくすぐられるようで、まんざらでもない気持ちになるようだ。普通は「アジョシ!」(おじさん)「アジュンマ!」(おばさん)と呼び止めるのだが、やはり「社長!」と呼ばれるのとはわけが違う。

きっかけは「大量餓死」

ところで公式には「民間企業」がない北朝鮮で、なぜ「社長」という言葉が使われ始めたのだろうか。