北朝鮮は10日、朝鮮労働党の創建70周年を記念し、大規模な軍事パレードを行うものと見られる。

海外の北朝鮮ウォッチャーにとって、軍事パレードの観察ポイントは4つある。

第1に、金正恩氏が行うと見られる演説の内容。第2に、正恩氏の周囲に陣取る高級幹部の顔触れと序列。第3に、海外からの来賓の顔触れ。第4に、パレードでどのような新兵器が披露されるか、である。

パレードに登場しそうな新兵器としてはまず、移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)がある。

ジェームズ・クラッパー米国家情報長官は3月、下院歳出委員会の軍事小委員会に提出した書面の中で、北朝鮮が核弾頭を搭載可能な弾道ミサイルKN-08を配備するための初期段階にある、とする見解を述べた。

2012年と2013年の軍事パレードに登場したKN-08は、射程距離が1万2000キロに達し、米国本土も射程に入るとの分析があるが、発射実験は確認されていない。

一方、今年に入り北朝鮮が実験を行った兵器として、新型の艦対艦ミサイルがある。2月、朝鮮労働党機関紙の労働新聞などで試射時の写真が公開された。

このミサイルを発射したステルス高速艇も新型であり、これらの兵器システムは、朝鮮半島の軍事バランスに微妙な変化を与え得るものだ。

そして、筆者が個人的にも気になっているのが、北朝鮮が初歩的な射出試験に成功した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1号」が登場するかどうかだ。

このSLBMを巡っては、北朝鮮が発射時の映像として公開したものが、米国のSLBM映像の盗用であったことがわかっている。射出実験は本当に成功したのだから、自分たちの映像だけ公開しておけば良いものを、どうしてわざわざ「宿敵」である米国からのパクリ映像を流すのか意味不明だが、それもまあ、この兵器に対する金正恩氏の愛情の表れなのかもしれない。

ちなみにこのSLBMは、日本の安全保障にとってたいへん重要な意味を持っている。このミサイルで、日本が狙われたらたいへんだ、という意味ではない。

新しい安保法制と日米ガイドラインに沿って行動すれば、いずれ海上自衛隊が、このミサイルを装備した潜水艦を先制攻撃すべき場面が訪れかねないからだ。

日本にとっても、北朝鮮の軍事パレードは非常に重要な意味を持っているのだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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