金正恩第1書記が、またもや現実を無視した指示を乱発して、住民や幹部を困らせているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、舞台となったのは咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)市。

マスゲーム「アリラン」の一幕。ニワトリ、ウサギ、ジャガイモの踊り(画像:Stephan)
マスゲーム「アリラン」の一幕。ニワトリ、ウサギ、ジャガイモの踊り(画像:Stephan)

現地情報筋によると、今年5月、清津市を現地指導した金正恩氏は「家畜業と家禽業を現代化せよ」としながら「羅南(ラナム)区域のクドク鶏工場(養鶏場)の建物を立て直せ」と指示を下した。しかし、鶏工場の建物はそれほど古くもなく、構造に問題もなかったという。

しかし、金正恩氏の指示には逆らえず、何があっても貫徹しなければならない。イルクン(従業員)たちは、渋々建て直しに乗り出したが、資材が全く足りない。そこで、「あるもの」を活用することにした。

それは元の建物に使われていた「資材」だ。一旦、既存の建物を取り壊して、レンガ、スレート、コンクリートの基礎、板、釘など使えそうなものは全部取っておいたうえで、新たな建設にとりかかった。

新しく立て直すために、元の建物の資材を再利用するーーまさに本末転倒だが、住民や幹部からは、「リサイクルした材料で建て直して何が現代化だ」という不満の声や「何のために、こんなことをやっているのかワケがわからない」などと言った疑問の声が続出している。

ここまでしても金正恩氏が強調する「現代化」には資材が全く足りず、当局は「いつもの手法」で資材や資金を集めることにした。 当局は、鶏工場の従業員や地元の住民に「釘、板、レンガを供出せよ」「忠誠の資金を差し出せ」との指示を下す。供出を渋っている人は、区域の労働党委員会から「早く出せ!」と矢継ぎ早に催促される。

しかし、最初から最後まで無茶なやり方で、かろうじて鶏工場の建物が建設されても、肝心のヒヨコもエサも不足しており、鶏の増産は難しい。金正恩氏の指示は「ともかく潰してともかく建てろ」のみで、具体的な運営、増産方法については、誰もわからない。

情報筋によると、住民たちは「意味のないことに動員された挙句、金品を搾り取られた」と激昂しているという。

道内では鶏工場以外にも、漁郎川3号発電所、金策製鉄所、清津東港の改修工事が行われているが、金品や労働力の供出で住民たちの負担が高まっている。

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