北朝鮮の首都・平壌は、9月中旬から「プチ鎖国」状態に突入した。10月10日に開催される朝鮮労働党創建70周年記念行事に向けて特別に許可を受けた住民や車両以外は、一切平壌に入れなくなった。このため、市民生活に著しい影響が出ているとデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

平壌郊外の検問所。すべての車両のチェックが行われ、許可がなければ郊外の平城に迂回させられる。(画像:Wikimapia)
平壌郊外の検問所。すべての車両のチェックが行われ、許可がなければ郊外の平城に迂回させられる。(画像:Wikimapia)

労働党の記念日前後には、公式に招待された来賓客や観光目的の外国人も多数訪れる。少しでも反体制や政府への不満の動きが見られば、北朝鮮当局の面目は丸つぶれだ。情報筋によると、当局はこうした事態を極度に恐れ、次のような指示を出した。

「閲兵式(軍事パレード)をはじめとした党創建行事準備期間中に『1件の敵対行為も適時に摘発し防止せよ」

交通も遮断され住民生活に支障

平壌市に隣接した平城(ピョンソン)との交通も遮断されている。道沿いにある「10号哨所」(国家安全保衛部管轄の検問所)では、人員が2倍に増やされ、車も人も追い返し、周囲の山でもパトロールを行うほどの徹底ぶりだが、これが物流に支障を来している。

平城には、平壌に物資を供給する全国最大規模の卸売市場があるが、交通が遮断されたため、平壌に物資を運搬できなくなった。例えるなら、東京が封鎖されて、神奈川や埼玉からの物資が入ってこなくなったのと同じような状態だ。

商人たちも「こればかりはどうしようもない」とあきらめ顔だが、彼ら以上に困っているの平壌市民たちだ。物資が全く入ってこなくなったため、物価が高騰しているのだ。

物流停滞で燃料も高騰

なかでも、燃料の価格上昇は庶民の懐を直撃。石炭は10月に入ってから毎日2ドル(約240円)ずつ高騰した。粉炭1トンは30ドル(約3600円)、練炭は60ドル(約7200円)に達している。

プロパンガスの価格も上昇している。まだ暖房の必要はないが、煮炊きに石炭を使う人々が多いため、燃料価格の上昇は深刻な問題だ。

平壌市民の間からは「大同江の遊覧船やら大通りの整備やらには気を使うのに、なんで庶民の暮らしには気を使わないんだ」「物がなくて息が詰まりそうだ」「何を恐れて流通まで遮断するんだ」「あんな行事、早く終わればいいのに」など、不満の声が続出している。

今年春、韓国でMERS(中東呼吸器症候群)が流行したが、この時も平壌への出入りが制限された。こうした措置は、住民生活に支障を来すだけでなく、海外資本や外国人観光客を誘致するにあたって大きな障害となっている。

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