朝日新聞が2日、北朝鮮で長距離弾道ミサイル発射の兆候が見られると報じた。ミサイル発射場へ向かう貨物列車の動きが確認され、そこにミサイルの部品が積まれているかも知れないというのだ。

これに対しては、韓国から否定的な情報が出ており、当の朝日新聞も、準備時間を考えると10日の朝鮮労働党創建70周年までに発射することは困難と分析している。

では、北朝鮮はミサイル発射を見送るのだろうか。

現状から言うと、その可能性は低いと思う。

北朝鮮はすでに、周囲の予想を上回る巨大な発射施設を完成させている。

そこには巨額の予算が費やされているのであり、技術的に解決不可能なトラブルでも起きなければ、発射を実行するだろう。

そもそも、北朝鮮の発表をつぶさに読めば、必ず10日までに打ち上げるとは言っていないことがわかる。

金正恩氏は、ミサイル発射の成功――つまりは弾頭の衛星軌道への投入成功――を優先し、発射の日時もそれに沿って決めるのではないか。

とはいっても、いつまでもダラダラと、発射が引き延ばされることもないはずだ。国威発揚などの政治的効果を考えれば、10日までに成功させるに越したことは無い。

それにどの国の軍隊もそうだが、こうした取り組みは実戦と同等の軍事作戦として行われる。そうである以上、敵に対応する猶予を与えず、素早く確実に実行することが求められる。北朝鮮は、すでに複数回にわたり「衛星打ち上げ」と称したミサイル発射を行ってきているのだから、金正恩氏ら上層部としても、何週間もかけて発射準備を行う余裕など、軍部に与えはしないだろう。

以上のような状況を踏まえ、また、各方面からの情報を総合するに、北朝鮮は工場からのミサイルを搬出して5日間ほどの準備期間があれば、発射準備を終えることが可能だと分析できる。

ということは、朝日新聞の報じた「貨物列車」がミサイル搬出の動きであるならば、7日~9日あたりに発射される可能性が高いと筆者は見ている。

だが、本当に重要なのはいつ発射されるかではなく、発射の結果がどう出るか、ということだろう。

あまり知られていないのだが、北朝鮮は実は、ミサイルに搭載する核弾頭の小型化を進展させていると、自ら宣言している。

それも含め、今度のミサイル発射から北の核武装の実態がうかがえるかどうか、大いに気になるところだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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