北朝鮮当局は、事あるごとに国内での外貨の使用を禁止する措置を取ってきたが、しばらく経つと有名無実化することを繰り返してきた。

100米ドル札(画像:Wikipedia)
100米ドル札(画像:Wikipedia)

しかし、北朝鮮ウォンの価値も信用度も低く、使い勝手も悪いために、市場ですら米ドルや人民元で物を買うような状況が続いている。「北朝鮮は世界で4番目にドルが多い国」という冗談なのか、本当なのかわからない話も出回っているという。

金正恩第1書記は、国内に出回っている外貨を吸い上げるために、平壌や各地方都市に外貨払いの高級レストランやレジャー施設を数多く建設したが、これがドルの価値をさらに高めるという皮肉な結果を生んでしまった。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の平壌情報筋によると、北朝鮮の若者達は、100ドル札に描かれている米国独立期の政治家、ベンジャミン・フランクリンを「米国じいさん」と親しみを込めて呼ぶ。商人や幹部たちも「じいさん(100ドル)はサイコー!」と言って憚らないという。

現在の市場レートでは、100ドルは80万北朝鮮ウォン。5000北朝鮮ウォン札160枚分だ。米国の政治家と比べて、北朝鮮の最高指導者が160分の1の価値しか過ぎないことを肖像画になぞえたジョークも交わされる。

「米国じいさん(=ベンジャミン・フランクリン)を買うのに、我々のじいさん(=金日成)160枚が必要だ」

情報筋は、「青少年は、反米映画『オオカミ』を見て、信川(シンチョン)博物館で米軍の虐殺の記録を見て、米国への復讐を誓う感想文を書いて、その後は、米ドル札を握りしめてデートに行く」と述べ。本音と建て前が入り交じった北朝鮮の現実を語った。

また、幹部たちも、「米国への復讐」を口にしながら、タバコの箱の中にこっそり入れられた100ドル札のワイロを平気で受け取る。さらに、故金正日氏、正恩氏は、二代にわたって米アップル社のマッキントッシュを愛用している。

米国を「不倶戴天の敵」とする反米プロパガンダも、米ドルのマネー・パワーには勝てなかったようだ。

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