北朝鮮で、不動産の「闇取引」が盛んに行われている。そんな北朝鮮式不動産ウラ事情について平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が、伝えてきた。

中国の丹東から見た北朝鮮の新義州。赤丸は建設中の高級マンション(画像:デイリーNK)
中国の丹東から見た北朝鮮の新義州。赤丸は建設中の高級マンション(画像:デイリーNK)

北朝鮮で住宅需要が高まるのは秋だ。秋の結婚シーズンを迎え、新居を探す新婚夫婦が増えることに加えて、一年の収穫を終えて多額の現金を手にしたトンジュ(金主、新興富裕層)たちが、不動産に投資するからだ。

建前上、北朝鮮の住宅は国家の所有財産だったが、90年代の大飢饉「苦難の行軍」を経て、なし崩し的に住居や土地が売買されるようになった。売買形式も、一般的な国家と似たような形になりつつある。

家を売りたい人は、まず不動産ブローカーを訪ねて、間取りと値段を伝えて鍵を預ける。買いたい人が、ブローカーを訪ねて希望の条件を伝えると、条件に見合った物件を10件ほど紹介してもらい、内覧する。

買いたい人が購入を決めたら、ブローカーは売主と買主を引き合わせ、その場で現金と許可証を渡してめでたく売買契約が成立という流れだ。

こうした不動産業務が一般的でなかった頃は、ブローカーの仲介料も非常に高額だったが、最近では住宅価格の1割程度に落ち着きつつある。例えば、1戸5万ドル(約600万円)で取引されている新義州市内の高級マンションの場合だと、ブローカーの受け取る仲介料は約5000ドル(約60万円)だ。

ちなみに、今年1月の新義州市内の高級マンション1戸の価格は3万ドル(約360万円)だったので、半年ちょっとで60%以上値上がりしている計算になる。マンション価格の下落が止まらない対岸の中国の丹東からすると羨ましい話だろう。

スムーズに不動産取引が行われる秘訣は、もちろんワイロだ。また、売買可能な住宅も限られる。国土環境保護省の国土管理局に賄賂を渡して許可証を得た上で、住宅地に転用された農場の土地に建てた高級住宅や、老朽化した家を立て直したものがそれにあたる。

あくまでも、違法な住宅売買だが、保安署(警察署)や都市経営事業所の幹部に、ワイロを掴ませれば売買許可証が得られる。手続きも当局にコネのあるブローカーの手を通じて行われる。

ブローカーへの手数料を下手にケチって、個人的に住宅を売買しようとすると、運が悪ければ当局に没収されかねない。住宅となると額が大きくなるだけに、ブローカーにカネを払って安心を買うといったところだろうか。

    関連記事