北朝鮮が宣布していた「準戦時状態」に伴い、軍事境界線付近から北部に疎開する人が急増。列車の切符の値段が急騰したと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

平壌発恵山(ヘサン)行きの1列車、3列車は、時刻表通りなら23時間で恵山に到着するはずだが、電力事情のよい夏でも停電や電気機関車の故障で2日ほどかかることが多い。渇水で水力発電所がまともに稼働できない冬には10日以上かかることすらある。

運賃は、本来は2000ウォン(約30円)だが、「ダフ屋」を通じて買わざるを得ないため、2万ウォン(約300円)ほどする。さらに準戦時状態の影響で最高6万ウォン(約900円)まで急騰。軍事境界線に近い地域を中心に戦争が本当に起こるかもしれないとの不安心理が広がり、疎開する子どもや老人が急増したためだ。

準戦時状態が解除され、4万ウォン(約600円)まで下落したが、疎開者が多く残っているため値段は高いまま。家に戻れない住民も多数いる。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、今回の事態で東奔西走したチェさん(女性:仮名)のエピソードを紹介した。

チェさんは、韓国の大延坪島から海を挟んでわずか38キロしか離れていない黄海黄海南道(ファンヘナムド)海州(ヘジュ)市在住。子どもを引き連れて疎開しようとしたところ、近所の人に「うちの子どもも連れて行って」と預けられ、9人の子どもを恵山市恵灘洞(ヘタンドン)の実家まで連れてきた。

その後、準戦時状態は解除されたが、今度は別の問題が彼女を待ち構えていた。途中の平城(ピョンソン)までの列車の切符が4万ウォン(約600円)を超えているからだ。10人分の切符を買おうとなると40万ウォン(約6000円)もする。

8月5日の時点で恵山の市場では米1キロが5500ウォン(約82円)なので、72キロ分に相当する大金だ。そんなお金を工面するあてもない彼女は、もどかしい思いをしつつ切符の値段が下がるのを待つしかない状況だという。

恵山から平壌までは停電の影響を受けないディーゼル機関車が牽引する特別列車もあるにはあるが、今年初めの時点でも運賃が9万ウォン(約1260円)と庶民がおいそれと乗れるものではない。

準戦時状態の余波は、しばらく続きそうだ。

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