北朝鮮で携帯電話事業を行っているエジプトのオラスコム社が、事業不振などで撤退も視野に入れているが、北朝鮮当局との交渉が順調に進んでいないと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

金正日氏、張成沢氏、オラスコム社のサウォリス会長/2011年1月23日
金正日氏、張成沢氏と会談したオラスコム社のサウォリス会長/2011年1月23日

オラスコムは13日に発表した今年第2四半期の会計監査報告書で、今年に入って伸び悩んでいた営業利益が再び上昇に転じたと明らかにした。同社が経営する北朝鮮の携帯電話会社「コリョリンク」の現金残高は6月末の時点で6億3000万ドルで、第1四半期の5億3900万ドルより約17%増加した。

しかし、この利益は北朝鮮当局の規制で外貨に換金できず、北朝鮮国内に貯まる一方だという。報告書では、国際社会が行っている経済制裁によって北朝鮮からの送金ができず、さらに携帯電話に関する技術を持ち込んだり持ち出したりすることも困難な状況を伝える。

さらに、北朝鮮には自由な外為市場が存在しないこともオラスコムに大きな足かせとなっている。会計報告書の営業利益は北朝鮮当局が公示した1ドル100北朝鮮ウォンのレートを適用したものだが、市場での闇レートは1ドル8200ウォンだ。これを適用すると利益が98%も減りオラスコムは大損害を被る。

海外に持ち出す利益にどのレートを適用するかを巡って、オラスコムと北朝鮮当局は交渉を続けてきたが、合意に達していない状況だ。また、北朝鮮第3の携帯電話会社「ピョル」(星)との競争も、携帯電話事業の障害となっていると報告書は指摘している。

オラスコムは安定的な事業のために、北朝鮮第2の携帯電話会社「強盛ネット網」との合併も視野に入れて数ヶ月にわたって交渉を行ってきたが、話しがまとまる気配はない。

2008月12月に携帯電話事業を始めたオラスコムは、加入者数を発表していないが、米国の北朝鮮専門ニュースサイト「ノースコリアテック」は、2014年6月の時点で加入者は240万人に達したと報じている。

北朝鮮当局は、海外からの投資を誘致するために特区を設置し、投資家を招待して説明会を開くなど一定の努力はしている。しかし、インフラや私有財産保護の未整備など、あまりにも投資環境が悪く、中国政府のシンクタンク関係者から「投資を勧めない」とダメ出しされる始末だ。

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