北朝鮮は世界で最もインターネットが厳しく制限された国だ。アジアで北朝鮮の次にネット規制が厳しかったかつてのミャンマーでも国営のネットカフェでインターネットに繋ぐことができたが、北朝鮮の一般住民はそれすら許されず、インターネットならぬイントラネットで国内のサイトに繋ぐのがやっとだ。

携帯電話を使う北朝鮮の女性。(本文とは関係ありません) ©Roman Harak
携帯電話を使う北朝鮮の女性。(画像:Roman Harak)

一方、北朝鮮に長期滞在する外国人はモバイルインターネットが使える携帯電話を使用できるようになっている。それを使うと、本来ならできないはずの韓国との連絡もできてしまうのだ。

黄海道(ファンヘド)にある中国系の投資会社で1年の勤務経験がある中国人(朝鮮族)は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に「北朝鮮にいた頃、韓国に出稼ぎに行っている母と(SNSアプリの)カカオトークでチャットや通話をした。中国にいる知人たちとは微信(WeChat)で連絡していた」と語った。

彼はさらに次のように説明した。 「韓国との国際電話はできないことになっているが、カカオトークなどを使うとメッセージ、画像、動画の送信はもちろん、通話もできる。ただし、スピードはかなり遅い」 「ネットや国際電話は使えるものの、北朝鮮の一般の人々とは通話すらできない」

6月11日に起きた平壌の高麗ホテルの火災後に、一時的にインターネットが遮断されたが、これは外国人が先を争って火災現場の写真をネットで外国に送信しようとしたためだと情報筋は語った。つまり、それだけ多くの在住外国人がインターネットを使っているということだ。

こうなると気になるのが「日本人拉致被害者の安否を探るために、これを利用できないか」ということだ。

北朝鮮国内に信頼できる協力者を獲得できれば、これまでは北朝鮮当局の公式情報に頼りがちだった調査活動にも、風穴が開けられるかもしれない。

それにしても、国内の情報流出に極度に敏感な北朝鮮当局が外国人にネット接続を許す理由はどこにあるのだろうか。

別の対北朝鮮情報筋は、外国人は北朝鮮の一般住民との接触を厳しく制限されており、外国人を厳しい監視の下においているため、外国人が流出させる情報は大したものではないと自信を持っているからだと解説した。

また、外国人観光客は長期滞在者に比べると信用度が低いため、インターネットへの接続は許されていないが、全く方法がないわけではない。ある観光客はデイリーNKに対して、北朝鮮を訪れた時に持っていた携帯電話がインターネットに繋がった経験を次のように語った。

「韓国に近い板門店のそばにある休憩所に行ったら携帯が鳴るから変だなと思ってチェックしてみた。すると、携帯が韓国のSKテレコムの電波を拾っていて、メールやツイッターの通知が大量に入ってきた。『北朝鮮なう』とツイートしようとしたけど電波が弱かったのか送信できなかった」

「中朝国境の新義州駅に停車中にも、携帯が中国の電波を拾った。同じようにツイートしようとしたがうまくいかなかった」(インドネシア人観光客)

ちなみに、この外国人用の携帯電話、料金がものすごく高い。頻繁に北朝鮮を訪れる朝鮮族の情報筋によると、コリョリンクの外国人専用の3G用U-SIMは30ドルもする。料金は先払いカードを買ってチャージする方式だが、このカードが1枚30ドルもする。中国や他の国の感覚でネットに接続してしまうと、1ヶ月の料金が1000ドルを超えかねない。

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