北朝鮮当局が、外貨を稼ぐために「マツタケ組」を組織したとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。背景には、深刻な外貨不足があるようだ。

擁壁を直す工事に動員されている住民たち。(本文とは関係ありません)
擁壁を直す工事に動員されている住民たち。(本文とは関係ありません)

10月10日の労働党創建70周年に向けて北朝鮮の各地では、銅像建設や都市整備事業が行われているが、資金不足を補うために当局は「セメントを出せ」「麺やパンを出せ」などと住民にありとあらゆる負担を強いている。

こうした状況のなか、平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋によると、全国の工場、企業所に「労働党創建70周年外貨稼ぎ課題」が下された。それに伴って結成されたのが「マツタケ組」だ。

「マツタケ組」は、各工場、企業所のイルクン(職員)たち5~6人が1組になって輸出用のマツタケを採る。旬でもないこの時期に、なぜ「マツタケ」なのかは謎だが、もしかすると金正恩氏の「キノコ好き」と何らかの関連があるかもしれない。

また、「金生産組」という組織も作られた。川で「砂金」を採取するのかと思いきや、イルクン(職員)からカネを集めて金鉱近所の住人から「金」を購入し、それを工場の党秘書に上納する。各機関に割り当てられたノルマは5グラム。同様の組織は軍隊にも作られた。

「30~40人が1組になって廃鉱に入って手掘りで金を掘り出す。とても危険極まりない作業だ。実際に事故も起きているが「金の量=忠誠心」と評価されるため、無茶な作業を強いられる」(内部情報筋)

一方、専業主婦や小学生には銅、ウサギの皮などを供出するような指示が下された。町中で「銅」が入手できるわけもなく、両親が市場で購入するが需要が急増したことから、「金」と同じ値段になるほど暴騰する結果を招いてしまった。

忠誠心を「マツタケ」や「金」で計ろうとする北朝鮮当局に、住民たちは呆れて次のように愚痴っている。

「お上(北朝鮮当局)が子どもの懐に手を入れるなんて、この国もそろそろ終わりだな」

故金日成主席は、1988年のソウルオリンピックに対向するために1989年に「世界青年学生祭典」を平壌で開催することを決定。施設の建設だけでなく、祝典自体に莫大な資金を投入した。

この後遺症が、90年代中盤から始まる大飢饉「苦難の行軍」を招く一因となった。

金正恩第一書記は、祖父・金日成主席を真似ているのか、それとも独自のスタイルをつくりあげたいのか「北朝鮮式ハコモノ行政」に執着している。一説では、この正恩氏の分不相応な方針をめぐる対立が張成沢氏がの処刑につながったとも言われている。

今現在も、住民を苦しめている最高指導者の「ハコモノ行政」へのコダワリは、この先もなんらかの形で後遺症とさらに北朝鮮住民を苦しめるのは火を見るより明らかだ。

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