北朝鮮では個人が個人を雇うことは法律で禁じられている。しかし、日雇い労働者を斡旋するブローカー(手配師)が、増えていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

擁壁を直す工事に動員されている住民たち。(本文とは関係ありません)
擁壁を直す工事に動員されている住民たち。(本文とは関係ありません)

両江道のRFAの内部情報筋によると、恵山(ヘサン)市の鴨緑江の川沿いにかけてのエリアには、多くの日雇い労働者と手配師が集まる。手配師は、商売人のふりをしながらうろついているが、ある雇用主が「人を雇いたい」と声をかけると、周囲に隠れていた労働者を連れてくるという。

雇用期間は、1日から数年で、賃金も時給制、日当制、年単位などが多用だ。日給額は、北朝鮮ウォンで数千ウォンから3万ウォン(約450円)と幅が広い。

仕事のニーズとして多いのは、トンジュなどの富裕層の家に住み込みで働く。仕事内容は、男でも子守から洗濯、農作業などあらゆる作業をする、いわば「下男」だ。主に、市場で商売できない貧困層からは、住み込みで食事も保証される「下男」の仕事はそれなりに人気がある。

また、ストリートチルドレンとして、身寄りもなく、世の中の事情に疎いコチェビたちは、商売ができるほどの力も知識がなく、「下男」の仕事しか就けない場合も多い。

格差社会特有の雇用体系ともいえるが、一方では「奴隷制度のようだ」と咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は語る。

「手配師のなかは、コチェビや孤児を収容している中等学院の教師から個人情報を聞き出し、軍隊や突撃隊に行く年齢のコチェビを施設から脱出させて、『奴隷』のような形で売り払うヤツもいる」

施設から逃げ出せば、コチェビたちには当局の目が届かなくなる。それを悪用して手配師は、仕事を斡旋して賃金の3割をピンはねする。なかにはコチェビたちを酷使する手配師も存在する。

こうした事情について住民たちは「現代版奴隷市場」と皮肉りながら雇用主を「新式地主」、労働者を「現代版下男」と呼んでいる。

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