北朝鮮で深刻な干ばつが発生していると伝えられている。国連や韓国だけでなく、北朝鮮の国営メディアも「過去100年で最悪の干ばつ」と明らかにした。

その一方で、北朝鮮メディアは、平壌市内の「紋繍(ムンス)プール」で大量の水を使っている様子を報道。住民たちの怒りが広がっている。

水遊びに興じる人々(左)と日照りと闘う人々(画像:労働新聞キャプチャー)
悠長に水遊びに興じる人々(左)と協同農場で日照りと闘う人々(画像:労働新聞キャプチャー)

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNKの内部情報筋は「水不足のなかで、田植え戦闘に苦労しているのに、紋繍プールでは水を無駄遣いしている。周りの住民からも不満の声が上がっている」と語った。 

金正恩第一書記は、「人民愛」を強調しながら見た目が豪華な「ハコモノ建設」を進め、全国各地にレジャー施設の新設、拡張、グレードアップの工事が行われている。さらに、トンジュ(金主=新興富裕層)の建設事業への参加にも許可を出す。

一例を挙げると、2014年には、火力発電所から出た熱を利用した温水プールやサウナがトンジュの資金で建設された。

北朝鮮当局は、こうしたハコモノ行政を通じて、「生活を豊かにする人民愛あふれる指導者・金正恩同志」とアピール。朝鮮中央テレビは、紋繍プールを「喜びとロマンに満ちた人民の喜び、幸せの笑い声が途切れることがない」と自画自賛する。これが「金正恩式ハコモノ行政」だ。

こうした報道を見聞きすれば、干ばつと闘いながらの田植え戦闘で苦しい思いをしている住民たちが、紋繍プールの水を優先する北朝鮮当局に不満を持つのは当然だろう。

内部情報筋は、住民たちの「金正恩式ハコモノ行政」に対する怒りの声を伝える。

「若造(金正恩氏)は生きるのに忙しい人民の生活を何もわかっていない」

「我々は市場で商売、幹部たちはプールで水遊び。道理で、町に人がいないはずだ」

怒りや不満を持つなら、まだいい。なかには、あまりにも現実と乖離した金正恩氏の政策にあきれ果てて、「頼りにならない国なんかどうでもいい」と無関心になる風潮も広がっている。「人民愛のアピール」どころか、体制への不満と失望を招く結果をもたらしている。

平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋は「住民たちは、お上(北朝鮮当局)が水道で水を供給する時代は終わったと考えている。どうせ、何もしてくれないから国に興味も持たない。水も自分たちでポンプで汲み出せばいい」と、北朝鮮住民の冷笑主義を伝えた。

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