北朝鮮で「牛」は、「国家財産」として売買、屠殺が厳しく禁じられているが、個人所有と売買が認められる方針だとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

7月18日牛工場を現地指導する金正恩氏/2015年5月11日付労働新聞より
7月18日牛工場を現地指導する金正恩氏/2015年5月11日付労働新聞より

朝鮮半島では伝統的に「牛」は食用ではなく、農耕用として使われてきた。韓国では既に農業機械に代わったが、北朝鮮ではまだまだ現役だ。土地の次に大事な「生産手段」であり、農村に行くと農耕牛は珍しくない。また、戦時には昔ながらの戦争のように「武器」となりうる。

北朝鮮で牛は食用ではなく輸送や農業に使われている。
北朝鮮で牛は食用ではなく輸送や農業に使われている。

これまで、協同農場で農耕用として登録された牛は国家財産であり、従来通り売買も屠殺も禁止されていた。許可なく屠殺したのがバレたら「経済犯」として処刑される可能性すらある。

ところが、その「牛」の個人所有と売買を当局は認める方針に転換しているという。平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋は語る。

「最近、共同農場でしか飼育が認められていなかった牛の個人飼育が認められ、その牛の自由売買も認められるようになったが、元帥様(金正恩氏)が、『人民たちに牛肉を食べさせろ』と指示したからだが、牛肉を食べさせて人気取りをしようとしているのではないか」

今では、貴重な牛肉は高価な賄賂として取引されているという。幹部たちは「牛が病気になった」と偽装して屠殺。正月や秋夕(盆)の「贈り物」とする。死んだ牛は軍隊や幹部たちに食用として送られる。

情報筋によると、幹部たちの間では牛肉を食べる文化は既に広まっていることから、一般住民たちに後追いで認めたようだと語った。また、農耕牛を飼育しても農場ではエサが確保できない状況なので、トンジュ(金主、新興富裕層)に投資させているという。

「個人飼育と売買が認められたら、農耕牛よりは丸々と太って美味しい牛が増えるだろう。豚肉のように冷蔵保存して販売するなど牛肉消費が増える可能性もある」(内部情報筋)

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