北朝鮮の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長が先月30日、反逆罪で??公開銃殺されたと国家情報院が13日明らかにした。

参考写真:真ん中の人物が玄永哲氏。右は黄炳瑞氏。
参考写真:真ん中の人物が玄永哲氏。右は黄炳瑞氏。

粛清劇の背景には様々な要因があると思われるが、確実に言えるのは金正恩氏が、いくら高位級幹部であろうと無慈悲に粛清する「恐怖政治」を強化していることだ。

恐怖政治の狙いは、自らの権力基盤と体制を強固にすることしかない。不満を示す幹部を一切許さず、粛清を通じて自分にのみ忠誠を尽くすことを党や軍の幹部に強要している。

粛清をちらすかせながら、恐怖政治を敷いているにもかかわらず、今のところ北朝鮮体制を揺るがすような表立った動きは伝わってこない。事実上のナンバー2だった張成沢氏の処刑からはじまって、人民武力部長クラスの幹部を無慈悲に処刑できる金正恩氏の権力は絶対的のようだ。

その一方で、逆説的だが、恐怖政治を敷かなければならないほど体制が不安定との見方もある。

2015年に入り北朝鮮では、15人の主要幹部が処刑されたと言われているが、その裏では、より多くの中間幹部級の人物が粛清されているだろう。だとすると、金正恩氏の統治能力、いわば幹部に対する掌握能力に深刻な亀裂が生じており、修復するために公開処刑という劇薬処方で忠誠心を強要しているのかもしれない。

また、金正恩氏は感情の起伏が激しく、その時々の気分次第で忠誠心を持つ核心幹部ですら容赦なく粛清していると北朝鮮の内部情報筋は指摘する。

「金正恩氏の機嫌が悪い時は、どんな小さなミスでも命取りとなる。いくら地位が高い幹部でも関係ない。気分の移り変わりが激しいため、幹部でも機嫌を取るのが難しい」(内部情報筋)

金正恩式「恐怖政治」について、朝鮮人民軍の元高級幹部の脱北者、キム・サンボムさん(50)は次のように語る。

「玄永哲の処刑を通じて、金正恩氏が不安定な心理状態にあることが明らかになった。??叔父(張成沢氏)を粛清してから、恐怖政治は一層強化されており今後も続くだろう」

金正恩氏が、名実共に北朝鮮の最高指導者になってから3年が過ぎた。この間、幹部に対する粛清は、金正日時代より多くなっているが、「金正恩式恐怖政治」は、いつか限界に達するかもしれない。その時、窮地に追い込まれた幹部が、極端な選択をしないとは誰にも断言できない。

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