北朝鮮産マツタケ(松茸)の不正輸入事件は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に対する強制捜査について北朝鮮政府が非難の声を高めるに及び、日朝関係を揺るがす事態になりつつある。

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イカゲソとごちゃ混ぜで焼かれる北朝鮮のマツタケ/北朝鮮・元山で撮影

ところで、焦点のマツタケは、かつて北朝鮮から日本への主要な輸出品のひとつであると同時に、在日朝鮮人にとっては思い出深い食材でもあった。

訪朝歴の多い在日朝鮮人男性が次のように語る。

「北朝鮮ではマツタケがよく採れるのですが、現地の人々の間ではあまり人気がない。私の親戚も『あんなものどこがウマイんだ?』と言っていました。だから国内ではほとんど消費されず、日本への輸出に振り向けられていたんですね。でも、私たち日本育ちの人間にとっては訪朝時の“おたのしみ”のひとつだった」

在日朝鮮人の親族訪問団は、新潟港と元山(ウォンサン)港をつなぐ貨客船「万景峰(マンギョンボン)」号で行き来するのがメインルートだった。日本に戻る際には元山の「東海苑」という食堂に立ち寄り、焼肉やマツタケを食べながら一杯やるのがお決まりのコースだったという。

男性が続ける。

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男性の胸に金日成バッジが光る。手前のビンは平壌焼酎/同

「東海苑では、マツタケが無造作に皿に盛られて出てきました。日本のデパートで見かけるような奥ゆかしさは全然ない(笑)。焼肉の薬味と脂が焦げ付いたロースターの上で、ゲソやトコブシとごちゃまぜで焼くので香りを楽しむも何もありません。それでも不思議と美味かったですね」

北朝鮮の核・ミサイル開発や日本人拉致問題のために、マツタケの輸出入や万景峰号の日本入港が禁止されて久しい。果たして、北朝鮮産マツタケの“想い出”が再現される日はくるのだろうか。

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