北朝鮮で、莫大な資金を投資して「砂採取ビジネス」を行うトンジュ(金主)たちが、みずからを「船主」と自称しているという。いわば北朝鮮版CEOだ。

大同江の河原で働く人々(本文とは関係ありません) ©Roman Harak
大同江の河原で働く人々(本文とは関係ありません) ©Roman Harak

北朝鮮の平安南道(ピョンアンナムド)から平壌を貫いて流れる大同江の「砂」をビジネスに繋げるトンジュ(金主)たちについては、7日にも本サイトで伝えたが、さらに詳しい「砂採取ビジネス」実態が明らかになった。

数十人を雇用し「砂ビジネス」企業化

砂採取ビジネスを始めるには、まず砂採取用の船を建造しなければならない。

一般的な砂採取用の船のサイズは全長3.5メートル、幅1.5メートル、高さ1.2メートル、重量は2~3トン、資材は「船主」が市場で調達して建造は国営工場に依頼する。各種費用を合わせると1500~2000ドルほどかかる。

次に「船主」は人材の確保にあたる。親戚や家族、あるいは知り合いで有能な者がいれば声をかけて事業総括責任者に任命する。責任者は国家建設事業所などで営業活動を行って販路を確保し、従業員の管理、賃金の会計なども行う。

また、体格のいい20~30代男性を雇用し、川底から砂を引き上げる作業に当たらせる。引き上げた砂は船に載せて陸に運ぶ。そこからトラックに載せて顧客の元に配送するのだ。

日当はコメ1キロが最低賃金。砂を引き上げる重労働はコメ10キロ。(50000ウォン=約750円)一人の「船主」の元で働く人々は数十人だ。

人民を食わせるのは金正恩氏ではなく「社会主義資本家」

本来、大同江で砂採取事業を行うのは陸海運省下部組織の「大同江事業所」だ。事業所は、民間の砂採取船に番号を付けて採取する区間を指定し争いが起こらないようにしている。船首たちは、いい採掘ポイントを確保するため、事業所の幹部に賄賂を手渡し、利益の3割を上納する。

日本の公共事業などにありがちな「利権構造」とも言えるが、国家当局よりも「商売のイロハ」を知る金主たちが主導していることから住民にとっても概ね好評のようだ。

「資本家、地主と言えば搾取の代名詞だが、そこに『社会主義』と付けると『人民の食い扶持を与える』という良い意味になるので、住民たちは船主のことを『社会主義資本家』と呼んで有難がっている」(情報筋)

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