反日か親日かは個人の体験次第

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だいたい人間というものは、この程度の歴史教育を受けたぐらいで、他の民族を心の底から憎むようになるほど単純なものではない。何に対してどんな感情を抱くかは、個人の社会体験が大きく影響する。朝鮮民族を「反日派」と「親日派」にまっぷたつに分ければ、筆者は確実に後者に入る。日本で暮らしながら差別やイジメを受けた体験など――少なくとも個人的には――一度も無く、そこそこ快適な青春を送ってきたのだから当然だろう。

たしかに、瞬間的に「反日感情」が湧きあがることはある。たとえば大学生の時、北関東にある関東大震災時の朝鮮人虐殺現場を訪れ、犠牲者たちがどのような殺され方をしたかを知った時には、炎のような怒りを感じた。

それでも、その時に添乗してくれていた日本人のバスガイドさんと「お近づきになりたい」という気持ちには、いささかの変化も起きなかったし、親しい隣人たちに対する敵愾心など生まれようもなかった。

また、サッカーの韓日戦で韓国代表が負けようものなら、口もききたくないぐらいに不愉快になるということはある。これについては、昨年行われたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で同じ思いを味わった日本人も多いはずだが、だからといって、その人が「嫌韓」だとは限らないだろう。