北朝鮮で、「トンジュ(金主)」と言われる新興富裕層が参入するビジネス領域が拡大しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

ヤミ市場などでの商売で資金を蓄え、日本で言うところの「金融ブローカー」として財をふくらませたトンジュたちは、従来から個人住宅の取引、運輸業などのビジネスに関わってきた。そして最近では「国家建設事業」にまで参入して収益を上げ始めている。(関連記事

昨年には、トンジュたちが投資を行い、平安南道(ピョンアムナムド)順天(スンチョン)火力発電所との共同開発による、プールと温泉を備えたいわば「複合スパリゾート施設」が建設された。

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「平壌基礎食品工場」の温水プール(参考写真)
「平壌基礎食品工場」の温水プール(参考写真)/2013年11月7日付労働新聞より

「建設されたプールのキャパシティは200名。浴室とスチームバス、レストラン、売店などの近代的な設備が整っており、利用客も多く、なかなかの賑わいだ」(内部情報筋)

国家機関傘下である順天火力発電所が「北朝鮮版複合スパリゾート」を建設したきっかけは、あるトンジュの提案だった。

「発電所のタービンから出る廃熱を利用してプールとスチームバスが建設できないか」

この提案を受けて事業が進められることになった。

北朝鮮当局は建設の許可のみを与え、トンジュが建設費用に巨額の投資をつぎ込んだ。そうして火力発電所の廃熱を利用したプールは出来上がったわけだ。

利益は、発電所とトンジュで折半(5対5)の配分。発電所はプールから得られる収益で事業所の運転資金をまかなっている。

トンジュたちは国営企業所の幹部とのコネクションを活用して、様々な利権事業に参入してきたが、今では国家ができない部分を彼らが補うほどの関係になりつつある。

北朝鮮当局が国家建設を進めるには、トンジュが保有する資金が頼りだ。いまや、「トンジュを制すれば北朝鮮経済を制す」と言っても過言ではないが、これが北朝鮮が誇る「ウリ(我々)式社会主義経済」の実態なのである。

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