実のところ、そういった現実を最も正確に理解して、頭を悩ませているのは外交関係者をはじめとする北朝鮮の指導部かもしれない。
「金正恩同志、式典ではくれぐれも失礼がないように、慎重に行動してください」「他国の国家元首から冷たい態度で接せられても我慢してください」と進言できるのかどうか。
ロシアが正式に「金正恩氏」個人を招待したにもかかわらず、特別な理由なしに訪露をキャンセルすれば外交的欠礼になりかねない。タイムリミットの5月まで時間は残されている。金正恩氏がどのような決断を下すのかに注目だ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。