牛で畑を耕す北朝鮮の農民(本文とは関係ありません)
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金正恩氏の誕生日は「休み」じゃない

北朝鮮では4月15日の金日成氏の誕生日を「太陽節」、2月16日の金正日氏の誕生日を「光明星節」として国を上げての祝賀行事が行われる。

1月8日は正恩氏の誕生日だ。てっきり休みと配給をもらえると楽しみにしていた北朝鮮の庶民を「ドツボ」に叩き込むような残念なニュースが伝えられた。

正恩氏の誕生日は祝日ではないというのだ。確かにデイリーNKジャパンが入手したカレンダーにも8日は公休日として定められていないが、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は次のように伝えた。

「先週まで元帥様(金正恩)の誕生日には休むと思っていたが、昨日『休みはなし』という通知が伝えられた」

これにより、各機関や企業所の労働者、専業主婦は8日も普段通り「堆肥戦闘」、つまり肥料用の「人糞集め」に動員されるはめになった。

化学肥料が不足している北朝鮮では毎年1月、人糞集めに住民を総動員している。「朝鮮民主女性同盟(女盟:ニョメン)」所属の専業主婦の場合、一人当たり1.6トンの人糞を収めよと指示が下された。

【参考記事】北住民 夜明けから夕方まで堆肥生産動員 … 市場閉鎖

「なぜ祝日じゃないのか?!」庶民の間で飛び交う相反する噂

「公休日」に定めなかった当局の方針の変化について庶民の間では二つの相反する噂が飛び交っている。

両江道の内部情報筋は「正恩氏が反発を生まないようにおとなしくしている」として次のように説明する。

「将軍様(金正日氏)の3年の喪が開けたが、正恩氏の誕生日を祝日にするのは時期尚早」

「『祝日の雰囲気を出すな』と正恩氏が言ったとの噂がある」

一方、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は、幹部の忠誠レースの犠牲で庶民の休日がなくなったと伝えている。

「金正恩は何も言っていないのに、中央党の幹部たちが『新年の辞決死貫徹』のスローガンを掲げて庶民を堆肥戦闘に追い立てている」

「金正恩が新年の辞で経済について多く述べているので、幹部たちが忠誠レースを始めてしまった」

米政府系の放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は昨年12月31日に、保衛部や人民保安部の職員は堆肥戦闘に参加しなくてもいいとの指示が下されて庶民の怒りを買っていると伝えたが、それに加えて今回の仕打ち。

北朝鮮の庶民たちはまさに「ドツボにはめられた」気分だろう。

子どもたちには「美味しいお菓子」をプレゼント

しかし、北朝鮮当局は子どもには配慮を見せているようだ。

今年の金正恩氏の誕生日には全国の子どもたちにお菓子などの贈り物を贈る予定だという。両江道の内部情報筋は贈り物用のお菓子について次のように説明する。

「道の食料工場では先週までに贈り物の包装をすべて終えた。誕生日前に贈り物の授与式が行われる予定だ」

「食料工場では贈り物用のお菓子の質を高めるために昨年秋から『生産正常化、質的水準向上』をスローガンに掲げている」

「今年のお菓子は美味しいとの噂が流れて期待感が高まっている」

北朝鮮当局が、子ども達にお菓子などの贈り物を配ることは評価すべきである。その一方、庶民達は休み返上で「人糞集め」に追いやられるなど相変わらず金正恩体制の方針はちぐはぐだ。

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