北朝鮮の鉄道の電化率は80%。日本や韓国の60%代に比べて非常に高い。これは劣悪なエネルギー事情でも安定的な運行を保つために60年代以降に電化が積極的に進められたためだ。しかし、その電化がアダとなり逆に鉄道の運行に大きな支障が出ている。

デイリーNKは、これまでにも北朝鮮の劣悪な鉄道事情について報じている。そして最近では平壌から恵山(ヘサン)まで10日以上かかるほどに状況が悪化していると、米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)が23日に報道した。

【関連記事】盗む!暴れる!鉄道工事「6.18突撃隊」がまるでチンピラ

両江道の住民がRFAに語ったところでは、「去年の秋ごろは平壌から恵山まで列車で1週間ほどかかっていたが、今では10日以上かかるようになった」という。

外国人の乗る列車は頑張って運行

『将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情』(国分隼人著・新潮社)に収められた2002年当時の時刻表によると、平壌発・恵山行きの「急行1列車」は約720キロの距離を、23時間13分かけて走っていた。720キロは新幹線で東京~岡山間の距離に相当する。のぞみで3時間強、在来線の寝台特急なら約8時間半で走り抜ける。

別の内部情報筋はRFAに対し、北朝鮮の主要路線である平義線(平壌―新義州)の運行も大幅に減っていると証言した。

「新義州(シニジュ)で電気が来るのは数日に1回、それも1〜2時間」
「平壌ー新義州間の列車は秋には15時間ほどかかっていたが、今では20時間以上かかるようになった。運行も毎日から週3〜4回に減った」

平壌―新義州間は約225キロ。東海道新幹線の東京~浜松間にほぼ相当する距離だ。ちなみに東京―浜松間はひかりなら1時間半、在来線の普通列車でも4時間で到着する。

前述の時刻表によると、外国人も乗る北京行きの「急行5列車」で約5時間の行程になっていた。外国人の乗らない「準急146・147列車」「準急142・143列車」なら、6時間半から7時間の行程だ。

北朝鮮を最近訪れた旅行者の証言では、平壌ー新義州間は時刻表通り5時間で走っているようだ。時刻表が今でも変わっていないのなら、証言で「20時間以上かかる」とされているのは準急列車の方であると思われる。

清津の住民はRFAに対し、最近の電力事情のひどさについて次のように語った。

保守点検をする北朝鮮の鉄道員たち/労働新聞より
保守点検をする北朝鮮の鉄道員たち/労働新聞より

「40年生きてきてこんなに長期間電気が来ないのは初めてだ」

「10月中旬以降、電気が来るのは1日に1時間以下。金正日哀悼期間の15日から17日まではニュースを見るようにと数時間ほど電気が来ていたが、18日からはまた元通りになった」

【関連記事】宅配がトレンド 鉄道労働者がサイドビジネス

「他の街がどうかはわからないが、かなりの大都市の清津ですらこの有り様なので、他の街も推して知るべしだろう」

鉄道事情の改善は当分、望めそうにない。

    関連記事