労働党は中央委員会と地方との軋轢が著しい。中央の指令に地方が食って掛かる有り様だ。国のリソース配分における差別に地方が反旗を翻す環境が既にできている。金正恩が核問題を解決せずして19の経済特別区への外資誘致を地方に迫ると予期できない事態が起きるおそれがある。
最後に労働党と人民軍という核心統治集団と金正恩の関係である。この関係においては「同志としての結びつき」が最も有利に働くが、年令による上下関係に厳しい朝鮮の文化的なコンテクストでは30歳の金正恩と高齢の側近たちとの間でそのような関係は成立し得ない。
崔龍海、趙然俊、黄炳瑞、李永吉、ピョン・インソン、金英哲などは金正日とだったら無理にでも同志関係を結ぶことはできるが、年齢が離れていて思想も経験も異なる金正恩とは不可能である。
金正恩と側近たちとの関係は地主(金日成、金正日)の息子と年老いた小作農との関係のようなものだ。崔龍海などのパルチザンの子孫の場合は、地主の息子と番頭との関係だろう。
金正日はパルチザン出身の長老たちを優遇しつつ、独自の権力基盤構築のために70年代初めから週に2回秘密パーティを開いて同志関係を確立させた。
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