北朝鮮当局は最近、個人耕作地(山に開墾した小規模の畑)の規模を従来の30坪から10坪以下に制限し、残りの20坪は協同農場に帰属させるという方針を発表した。個人耕作地を大幅に縮小し、農民を協同農場の生産成果に集中させる狙いと見られるが、農業改革を骨子とする「6.28経済改善措置」の再推進との関連性が注目されている。

恵山市街地の裏山も畑になっている(本文とは関係ありません)
恵山市街地の裏山も畑になっている(本文とは関係ありません)

咸鏡北道会寧の消息筋は29日、デイリーNKに「先日、郡党委員会のある幹部が女盟員が全員参加した会議で『今年から個人の土地使用を10坪に制限し、残りの20坪は没収する』と話していた。没収された土地は農場に帰属し、山の耕作地には木を植えるらしい」と伝えた。

さらに消息筋は「許可された10坪の土地に対しても一坪当たり50ウォンを納めた場合にのみ耕作が認められる。指示を伝えた党幹部は『この規則を守れない場合は厳重な法的処罰が加えられる』と述べ、住民は今春の野菜の収穫を懸念している」と話した。

また「配給がままならない状況で個人農地で生計を立てる住民にとって、農地没収は食糧を奪われるのと同じこと。さらに法的処罰まで実施され住民はますます不満を募らせている」と強調した。

北朝鮮のこのような措置は農場員の個人耕作に関する関心と努力を協同農場に集中させることで、国家の生産能力を増大させる狙いが読み取れる。これは協同農場の穀物生産個人配当量制を含む、6.28農業改革の事前措置である可能性が高いとみえる。しかし同様の措置が実際には農民の生活を苦しめる可能性が小さくない。

北朝鮮は昨年、農業改革などを含む新経済管理改善措置(6.28方針)を各地域に伝達した。北朝鮮は今まで協同農場の生産性低下が住民による個人耕作地に起因すると判断し、これを制限する措置を幾度も実施してきたが、配給不足と農民の反発、個人耕作地制限の現実的な困難などにより中途放棄されてきた。

消息筋は、このような個人耕作地制限措置が全面実施された場合、個人のトウモロコシなどの生産量に影響が及び、北朝鮮市場での穀物流通量も大幅に減少するものと推測する。これに対しある脱北者は「個人所有の耕作地が没収されたら北朝鮮全体住民が消費する穀物生産量が10%程度減少する」と話した。

また、住民は30坪以上の個人耕作地の経営が禁じられているが、実際はこれより大規模な耕作地で農業を営んでいるという。

北朝鮮の農村で一般的に一世帯当り1500坪の耕作地で農業が行われており、一部の住民は3000坪以上の場合もあるという。生産される穀物は最大でトウモロコシの場合1~1.5トン程度で、その他に大豆、白菜、大根、ゴマなどが栽培される。

北朝鮮は1946年3月5日、土地改革法令を発表し土地を無償没収し無償分配した。その後1950年代に入り、土地に対する国有化を実施。集団農場を設立し個人の土地や生産物の私有が禁じられた。しかし農村地域の住民は大豆、蕎麦、白菜、大根、ジャガイモ、サツマイモなどを収穫するため、山すそや空き地を開拓した。

特に1990年代中盤以降、北朝鮮で餓死者が発生しだしてからは農村の住民が山の木々を切り畑にするなど、個人耕作地が形成され始め、トウモロコシを始めとする穀物生産が本格化した。

当時、農村で餓死者が少なかった理由が個人耕作地があったからだ。住民は個人耕作地で収穫された農作物を販売したり、工業品と物々交換するなどして生計を維持してきた。

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