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韓国の携帯電話3社と米国のベライゾンは2019年4月3日、5G(第5世代移動通信システム)のサービスを世界で初めて開始した。日本ではその翌年からサービスが始まった。その前の4Gのサービスが始まったのは、韓国や米国では2006年、日本では2012年だが、それに遅れること十数年、北朝鮮でもようやく4Gサービスが始まった。

デイリーNK内部情報筋によると、最近になって4Gユーザーの募集が開始された。基地局などの設備は中国から取り寄せた新品または中古品で、技術指導書も中国のものだ。別の情報筋は今年10月、国内の基地局の設備を新しいものに取り替える工事が行われていると伝えた。3年半以上続いた「コロナ鎖国」の終了に伴い、輸入が行われたようだ。

4Gネットワークの構築は、内閣と非常設経済発展委員会が中心となり、情報通信局が技術指導書を各道、市、郡の逓信所(郵便局兼携帯電話営業所)と移動通信センターに配布し、人民委員会(道庁、市役所)の協力の下で工事が行われている。

当局は、通信速度の向上はもちろん、今までは圏外だったところでも携帯電話の使用が可能になる、4Gを使えば電波の心配はないと宣伝し、加入者を集めている。

情報筋は、実際に4Gネットワークを使ってみた人の話として、「パケ詰まり(圏外でないのに通じなかったり極度に遅くなったりする」がなく、動画も再生途中で途切れず、電波状態が非常に良好」で、非常に好評だと伝えた。

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しかし、導入が始まったばかりということもあり、問題も多い。基地局は今のところ、平壌市内中心部にしかなく、基地局から離れると圏外になるため、3Gと4Gのデバイスの2台持ちで対応しているとのことだ。

北朝鮮で使われている4G対応の携帯電話は、4Gの電波がなければ3Gに自動的に切り替える方式にはなっていないようだ。政治的な理由なのか、技術的な理由なのかはわかっていない。ただ、チンダルレ(つつじ)、マドゥサン(馬頭山)、チョンソン(青松)、チョルリョン(鉄嶺)、アリランなど、北朝鮮製のスマートフォンは、サービス開始前から4G対応になっていたようだ。

実際に使用してみた人からは好評を得ている反面、3Gユーザーの反応は鈍い。

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「(スマホの画面上の)アンテナが3本以上立つまで、買う必要はない。飛びついているのは金持ちくらい」(情報筋)

情報筋の話では、3Gの場合、圏外になっても少し移動すれば問題なく使えるので、さほど不便は感じておらず、4Gがどこでも使えるようになってから買っても遅くないと考える人がほとんどだという。

3G、4G、スマホ、ガラケー問わず、携帯電話の価格は、北朝鮮の物価水準と比較すると非常に高価で、未だコロナ禍の経済難から立ち上がれていない現状で、機種変更はなかなか重荷なのだろう。

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また、若者は韓流コンテンツに接するために携帯を利用しているが、機種変更した場合、新たな監視ソフトが入っていて、ファイルの再生ができなくなることを恐れているのかもしれない。

(参考記事:北朝鮮の恐怖政治を骨抜きにする「韓流見放題ソフト」

ただ、新しい物好き、見栄っ張りの人が多い北朝鮮のこと。4Gを「富の象徴」、「オシャレ」などと売り込めば、やせ我慢してでも買おうという人が現れるかもしれない。

(参考記事:スマホのブランドで付き合う相手を決める北朝鮮の最新恋愛事情

当局は、2025年までに全土の8割以上で4Gが使えるようにするプロジェクトを進めている。