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北朝鮮の人々の暮らしを支えている公設市場。日々の食料品、生活必需品はもちろん、最新の流行トレンドまで北朝鮮のすべてがここに集まっている。

韓国政府系のシンクタンク、統一研究院が昨年行った調査によると、北朝鮮国内の市場の数は414カ所。当局は市場に対する抑制策を取っているが、国による配給など、市場を代替するだけのシステムが全くと言っていいほど整っていない。その改善策もあまりうまく行っているとは言い難いのが現状で、市場の社会的地位は変わっていない。

(参考記事:北朝鮮の市場、数も面積も過去5年で微増

国民の多くにとって、市場は消費のためだけの場ではなく、収入を得る場となっている。韓国の北朝鮮研究学会と現代リサーチ研究所の2019年の調査で、市場などから収入を得ている人は全体の48.0%に達し、国営企業や国の機関から収入を得ている人の24.0%の2倍に達する。

首都・平壌ではその割合が変わり、国の機関からの収入に頼って生きている人が多くなるが、それでも市民にとって市場の重要性は変わらない。そんな市場が地域から突然消えてしまったら…?

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実際にそんな問題が起きている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:北朝鮮国民の半数が「商売」で収入を得ている

平壌市内の牡丹峰(モランボン)区域にあった仁興(イヌン)市場は、さほど規模は大きくないものの、市内でも有名な市場だった。この区域は、景勝地の牡丹峰、外国人観光客も訪れる凱旋門、金日成競技場などを擁し、中国大使館もある。トンジュ(金主、ニューリッチ)に人気があり、東京で言うところの港区のような地域だ。そのせいか、目の肥えた客が多く、質の良い品物が手に入るということだった。

ところが、現地の情報筋によると、この市場が昨年、突然立ち退きに遭ってしまった。当局は、この地域の古いマンションを新しいものに建て替えるプロジェクトを行っているが、運悪くこの市場の立地も対象となってしまったのだ。

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平壌市民は、地方住民とは異なり生活のすべてを市場に頼っているわけではないが、なければ非常に不便である点では同じだ。国営商店に行ったところで買えるのはせいぜい味噌や野菜くらい。

取り壊しから1年近く経っても、当局から新しい市場を開設するとの話はなく、住民は地下鉄やバスに乗って別の区域にある市場まで行く不便を強いられている。

別の情報筋によると、この市場は密集したマンションの隙間を埋めるように形成されている。近隣に地下鉄駅があり、バス路線が集中しているため、非常に客の多い市場だった。

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「毎日通っていた市場がなくなった残念さも大きいが、生活上の不便さの方がもっと大きい」(情報筋)

この市場を利用していた住民や商人は、市当局に対して繰り返して信訴(苦情)を出しているが、当局から返ってくるのは、新設された国営の総合商店を利用せととの答えだけだった。ただ、情報筋は、「地域住民の不便さを解決する策も出さずに市場をなくしたのは、本当に理解できない」とボヤいているのを見ると、総合商店は使い勝手や、品揃えの良い店ではないようだ。

ただ、当局は他の区域の市場には手を付けていないことから、市場そのものを平壌から完全になくすということではないだろうと、情報筋は見ている。

北朝鮮は市場を「資本主義の残滓の残る醜悪で、いつかはなくなるべき場所」などと見なしており、ごく一部の例外を除いて、外国人の訪問を認めていない。隠しておくべきものと考えているようだが、だからといって本当になくしてしまえば、市民の生活に大混乱が起きることは間違いない。

ちなみに19区域と2の郡からなる平壌市には、全部で30か所の市場が存在する。また、北東郊外の平城(ピョンソン)市には、全国有数の巨大卸売市場がある。

(参考記事:当局の意図に反して「市場経済化」が再び進んでしまう北朝鮮