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かつて非合法だった農民市場から発展し、政府により公式化された市場は、北朝鮮のトレンドを見るに当たって欠かせない場所だ。しかし、ごく一部の例外を除き、外国人の立ち入りは禁止されている。そもそも、現在はコロナのせいで外国人は北朝鮮への入国ができない。

そんな中、北朝鮮国内に住む人や脱北者からの証言や衛星写真を用い、北朝鮮の市場の現状を分析した報告書が発表された。

韓国政府系のシンクタンク、統一研究院のホン・ミン北朝鮮研究室長は「北朝鮮公式市場の分布と地域別特徴」という報告書を発表した。

それによると、今年11月の時点で、北朝鮮で開設されている市場は414ヶ所。2017年以降の変化を見ると、11ヶ所が新設され、8ヶ所が閉鎖された。また、26ヶ所は拡張移転、15ヶ所は縮小移転している。

北朝鮮有数の流通拠点である平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)では6ヶ所から7ヶ所に増え、道内全体でも65ヶ所から68ヶ所に増えている。もう一つの流通拠点である咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)は19ヶ所から22ヶ所に増えているが、道内全体では郡部で数が減ったため、46ヶ所と変わりがない。

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一方、売り場面積の合計は2016年の183万9582平米から、194万7205平米と、10万7623平米が増えている。全国最大の面積を誇るのは清津の水南(スナム)市場で3万887平米、2016年と比較して3割ほど面積が拡張した。ちなみに東京ドームの面積は4万6755平米だ。最小は江原道(カンウォンド)の川内(チョンネ)郡にある禾羅(ファラ)市場で、323平米に過ぎない。

全国9大市場は次のとおりだ。
○咸鏡北道清津市水南市場:3万887平米
○黄海南道海州市養士市場:2万1303平米
○南浦特別市港口区域中大頭市場:1万70004平米
○羅先特別市新興市場:1万6869平米
○咸鏡南道咸興市坪水市場:1万6721平米
○黄海南道安岳郡安岳市場:1万6239平米
○南浦特別市千里馬郡天真市場:1万6095平米
○平壌特別市楽浪区域統一通り市場:1万6032平米
○黄海北道松林市セマウル市場:1万5568平米

全国的な流通の中心となっているのは、平壌市(15万4896平米)、清津市(7万4114平米)、南浦市(6万3407平米)、咸興市(5万1085平米)、平城市(3万15平米)、元山市(2万6505平米)、新義州市(2万625平米)の7都市だ。(カッコ内は市域内の市場面積の合計)

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一方、少なく見積もっても総人口約2560万人の約5%に当たる114万人が市場に関わっており、関連産業や非合法市場に関わっている人などを含めると、その数は遥かに多いと見られる。

(参考記事:北朝鮮国民の75%、収入のすべてを「市場での商売」で得る

市場の分布の特徴として挙げられるのは、中国との国境に接する新義州(シニジュ)から首都・平壌を経て、韓国との軍事境界線に接する開城(ケソン)という、西海岸沿いの古くからの流通動線に市場が集中していることに変化がない点、市、郡など道に属する行政単位が多いほど市場の数が多い点、人口と市場の数が比例している点などだ。

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北朝鮮当局は、過去30年間経済の主導的役割を果たしてきた市場の機能を制限し、旧来の計画経済中心の体制に戻そうとする傾向が見られる。

(参考記事:本腰を入れて市場を潰しにかかる北朝鮮の「計画経済回帰策」