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北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)は、広い平野が広がる穀倉地帯として知られているが、道の東部は山がちな地形で、稲作より麻、タバコなどの畑作が一般的だ。また、山地が大部分を占めるため、それを利用した牧畜も盛んに行われている。

そこで飼われていたヤギが大量死する事態が起きた。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

今月中旬、麟山(リンサン)や瑞興(ソフン)の牧場で飼育しているヤギの約4割が死んでしまう事態が発生した。その原因は、寄生虫によるものだという。具体的にどのような寄生虫が発生しているのかについては言及されていない。

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一般的にヤギは病気にかかりにくいとされているが、北朝鮮で畜産関連業に従事した経験を持つ脱北者で、グッド・ファーマーズ研究所長を務めるチョ・チュンヒ氏によると、寄生虫は草や土壌に生息しており、ヤギが根まで食べてしまうことで体内に寄生虫を取り込む。そのため草の消毒が重要だが、薬品不足が深刻な北朝鮮では、消毒作業がきちんと行われていないという。

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情報筋によると、かつて牧場では中国から輸入された消毒薬と虫下しを使用していたが、2020年1月に、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために、国境を封鎖したことでこれらが輸入できなくなり、それ以降ヤギの病死が増えたという。

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黄海北道獣医防疫所は、「畜産単位(牧場)では、当該機関と連携して、家畜の伝染病予防と治療に必要な消毒薬、治療薬、器具を適時に確保し、薬草で薬品を自作して利用すべき」との指示を下した。

しかし現在、消毒薬は石灰水、クロロホルム、塩素、塩を混ぜたものを、虫下しは乾燥させた薬草を使っているが、こちらは効果が立証されていないものだ。中国との貿易は既に再開されているものの、牧場で必要とするものは充分供給されていないようだ。

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チョ所長は、寄生虫感染による家畜の死亡は北朝鮮で長年続いている問題だと指摘し、その解決のためには、草の消毒と薬品の供給が欠かせないことを獣医当局も充分にわかっているが、財源不足と輸入が難しいため、自力更生を強調せざるを得ないと説明した。

獣医当局は、死亡したヤギは報告された全体の4割を超えるものと見て、調査を進めている。

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