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極端なコロナ対策として貿易を完全にストップさせた北朝鮮。日々のおかずから核兵器の部品に至るまで、中国からの輸入に大きく依存している実情を無視したこのやり方は物資や食糧の深刻な不足を招いた。

その後、規制は徐々に緩和され、中国製品は入荷するようになったものの、かつてのような自由な貿易は許されていない。そのため中国との国境に面した地域は不況から抜け出せず、物が売れない状況が続いている。そんな中で、中国製品の販売価格が下落し、北朝鮮ウォンも安くなり、商人にとってさらなるダメージになっている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:北朝鮮の食品価格が大幅下落も一向に売れる気配がない理由

会寧(フェリョン)の市場では、食用油1キロの値段は、3月初旬に2万8000北朝鮮ウォン(約448円)だったのが、今では1万5000北朝鮮ウォン(約240円)まで下落した。

商人は、品物を卸売商人を通じて購入するが、まず商品を受け取り、売れたあとで代金を支払う後払い方式が一般的だ。卸売商人は、中国人民元が安くなれば北朝鮮ウォンで代金を要求し、高くなれば人民元で要求する。3月初めは1元が1200北朝鮮ウォンだったが、5月以降は1290北朝鮮ウォンで、人民元高となっている。

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食用油が高値だったころは、1キロ売れば1万8000北朝鮮ウォンの儲けになったが、今では1万5000北朝鮮ウォンの儲けしかない。少しややこしい話だが、1キロ売るごとに1万3000北朝鮮ウォンの損失を出している計算となる。また、卸売商人には代金を人民元で払わなければならず、さらに損が膨らむ。

上述のように、国はコロナ前のような自由な貿易を許していない。国が何をどれだけ輸入するかを決める「国家唯一貿易体制」のせいで、貿易に依存してきた地域経済が壊滅状態に陥っている。物が輸入されても、誰もカネを持っていないため、商品が売れないのだ。

情報筋も「現在の経済政策は『自分たちに耐えることを強いる現実に合わない政策』だと住民は口を合わせて言っている」と現地の雰囲気を伝えた。

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一部では、命がけで密輸を試みる人も出ている。

(参考記事:密輸横行で骨抜きになる北朝鮮の「貿易独り占め政策」