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「今度こそは!」という人々の切実な思いが、また裏切られるのだろうか。

中国との国境に接する北朝鮮の両江道(リャンガンド)は、中国との貿易や密輸で地域経済が成り立っていた。ところが、北朝鮮政府は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を封鎖、いっさいの貿易を停止させ、国境警備を今まで以上に強化した。

これにより地域は極度の不況に陥り、モノ不足と食糧不足が深刻化。しばしば出される封鎖令(ロックダウン)と相まって、一部地域では人口の1割近い餓死者を出すほどの状況となった。

この状況の打開に最も求められるのは国境が再び開き、貿易が再びできるようになることだ。地域では、たびたび貿易再開の噂が流れ、地域住民がぬか喜びさせられることが何度も繰り返されている。

(参考記事:【内部資料】北朝鮮、少なくとも37カ所をコロナの恐れで地域封鎖

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地域では、また同様の噂が流れていると現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

最大都市の恵山(ヘサン)では「5月から恵山税関が開かれる」との噂がながれ、市民の期待が高まっている。だが、地元の人々は「3月15日に道内の大紅湍(テホンダン)郡の三長(サムジャン)税関が再開される」との噂に騙されたばかりだ。貿易会社も噂を信じて、輸出する品物まで準備していた。

(参考記事:「また騙された」貿易再開の噂に踊らされる北朝鮮国民

「もはや騙されるまい」と言っていた人々だが、「今月20日ごろから両江道貿易局のイルクン(幹部)が恵山税関から中国に向かった」との噂が貿易業者の間で流れ、「今度こそは本当に開かれるのではないか」という期待が高まっている。

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「市民全員が噂ではなく本当に開かれることを熱望している」(情報筋)

鉱業と林業以外に産業のないこの地域にとって、貿易業と商業は、今までにない富をもたらした。国境が再び開かれることは、人々が飢餓から抜け出し、再び豊かになる可能性につながることなのだ。

恵山市の貿易業者はこのように語る。

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「もう噂は信じまいと思っていたが、耳にすると期待する。期待したが失望させられ苦しい日々も多かったが、今回は本当に貿易イルクンたちが税関を通じて中国に行って、輸出品目に関する討議を行ったとの話まで流れているので、本当に再開される日はそう遠くないとの希望が生まれた。本当にそんな日が来ることを切実に願っている」

当局は、「貿易に期待するな」という思想教育を行い、噂の打ち消しを行おうとしたが、全く効果がなく、その後もたびたび同様の噂が流れた。

(参考記事:貿易依存の現実を見ず「自力更生」の妄想を続ける北朝鮮

北朝鮮は、以前のように地方の貿易会社や個人がてんでバラバラに貿易する体制ではなく、国が貿易を牛耳る「国家唯一貿易体制」を打ち立てようとしている。それを考えると、今回の噂も、ぬか喜びで終わる可能性が高い。

ただ、噂が希望を呼び、嘘とわかって失望させられる事態が続いていることで、政策への不満が増幅させられている。それに、当局がどれくらい持ちこたえられるか、手に負えなくなって貿易を再開させるのかわからない。ただ、ごく限定的であっても貿易が再開されるとなれば、猫も杓子も密輸に乗り出そうとし、「国家唯一貿易体制」はあっという間に崩壊してしまうだろう。そうして、実効性のない法律や命令は、ウヤムヤになってしまうのだ。

(参考記事:密輸横行で骨抜きになる北朝鮮の「貿易独り占め政策」