人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

首都・平壌で2025年までに5万世帯の住宅を建設、供給するという北朝鮮のビッグプロジェクト。思想や成分(身分)に問題のない「選ばれし者」だけが住める平壌ではあるが、住宅事情は逼迫しており、1戸に複数世帯が住むケースもザラだ。

金正恩総書記はその解決に乗り出し、すでに松新(ソンシン)・松花(ソンファ)地区の1万戸は完成。現在は、和盛(ファソン)地区の第2次工事が行われている。

ゼロコロナ政策でコロナ前のように輸入が順調に進まず、常に資材不足に悩まされている現場だが、これに関する指示が出された。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

平壌市住宅建設指揮部は今月初め、輸入した建設資材がまもなく到着するので、資材防疫選別指揮組を迅速に派遣せよとの指示を下した。

当局は外国から輸入した資材を、国境で何度も防疫作業を行った上で平壌に送っていた。中国との国境に接する新義州(シニジュ)の郊外には、そのための大規模消毒施設がある。

(参考記事:北朝鮮「コロナ対策」貿易停止を緩和か…消毒施設の新設認可

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

しかし、このようなやり方では当然資材が平壌に届くのが遅くなる。そこで、国境の消毒施設では1回だけ防疫作業を行い、2回目からは平壌で行うことにした。資材防疫選別指揮組はこの作業に当たる。その方が建設が早く進み、防疫も徹底的に行えるだろうという見込みに基づいたものだ。

それでも、防疫作業には相当の時間を要する。国境で1回目を終えてから平壌に運ばれた資材は、5日から7日をかけて消毒などを行って、ようやく建設現場に運ばれる。スムーズに作業が進むように、優先順位を決めて作業を行えとの指示も下された。

一方、外国の企業や機関、日本、中国、米国、カナダなどに住む朝鮮系の人々を説得して寄付してもらった資材に関しては、少しの傷もつけてはならないとの指示も下されている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

このように資材の調達には気を使う一方で、現場で働く人に対する補給は度外視されている。飢えに苦しんだ労働者が、建設現場の周囲の民家に押し入って空き巣を働いたり、路上で強盗に及んだりする事件が多発している。

(参考記事:飢餓で混乱…金正恩の首都に迫る「巨大な盗賊の群れ」

また、現在は前年の収穫物の蓄えが底をつく春窮期にあたり、麦の収穫が始まる初夏まで厳しい食糧事情が続くが、そちらもほったらかしにされているようだ。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

飢えと貧困に苦しむ国境沿いの地域の人々は、一日も早く、以前のように自由に貿易ができるようになることを望んでいるが、平壌のプロジェクトばかりが優先されているのだ。

(参考記事:北朝鮮当局も抑え込めない「3月に貿易を全面再開」説への期待