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北朝鮮の朝鮮労働党両江道(リャンガンド)委員会は先日、道内の貿易会社の関係者を集めて会議を開き、未だに閉鎖されたままの国境がすぐにでも開かれるかのような「デマ」を流すな、貿易や密輸に頼らない経済体制を構築せよ、などと激しく批判した。

中国と国境を接する地域が貿易に頼るのはごく自然なことだが、地域の産業を発展させることよりも、中国からの輸入で手っ取り早く済ませようとした結果、中国依存度があまりにも高い経済構造になってしまった。当局は、そこからの脱却を図りたいのだろう。

(参考記事:【北朝鮮幹部インタビュー】「輸入だけでなく輸出もしたい。複数の貿易ルート再開を」

しかし、鉱物資源は非常に豊富ながらも、技術も物資も足りていない北朝鮮が、中国だのみになってしまうのは仕方がない。新義州(シニジュ)、恵山(ヘサン)などこの地域一帯では、3月中旬以降に貿易が本格的に再開されるのではないかという噂が飛び交っているという。

デイリーNKの内部情報筋は、中国のゼロコロナ政策終了に伴い、新規感染者や死者が続出しているにもかかわらず、中国との国境に接した北朝鮮側の地域で当局の統制が強化されていないと説明。また北朝鮮と中国を結ぶ国際貨物列車の運行も続けられていることから、「もはやコロナ対策で貿易が妨げられることはそう簡単に起きないだろう」との見方が広がり、そこから貿易の本格再開説が飛び交うようになったと話した。

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北朝鮮では昨年8月、金正恩総書記が新型コロナウイルスに対する「非常防疫大戦」の勝利宣言を行ったことから、コロナは「終わった話」扱いにされている。医師も、コロナを疑わせる症状を見せる患者に、コロナであるとの診断を下すことができなくなった。

北朝鮮国内で、再びコロナの新規感染者が発生したとしても、それを認めることは、最高指導者の勝利宣言を覆すことに繋がりかねないという政治的な理由で、移動制限や貨物列車の運行停止などの措置を取りづらいということだ。また、そもそも正確な診断をしようにも、検査キットが普及していない。

(参考記事:北朝鮮北部で増える高熱患者、病院はコロナと一切認めず

そんな中で、貿易会社の幹部や密輸に携わっていた人々の間で、「貿易は再び拡大するしかない、その時期は迫っている」という噂が流れ続けているのだ。

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また、一部の貿易会社から「国が今のように貿易を統制し続けるのならば、各貿易会社が1カ月に1回ずつ、順番で輸出入ができるように許可してほしい」との提議書を出そうという意見すら出ているとのことだ。国が貿易を司る「国家唯一貿易体制」に反旗を翻そうというのだ。

一方、中国のデイリーNK情報筋は、今年に入ってから鴨緑江流域での密輸が大幅に増加したと伝えている。現在、北朝鮮から公式の輸出は停止されているが、密輸では牛黄清心丸などの漢方薬や鉱物資源が中国に持ち出されている。

これは、北朝鮮の国境警備隊による取り締まりが緩和されたものによる。ただ、中国の公安当局の警備は依然として非常に厳しいとのことだ。

(参考記事:中国の国境警備艇、北朝鮮船に銃撃…被弾して帰還

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しかし、上述のように当局は「国家唯一貿易体制」の樹立を目指し、地方の中小貿易会社を大手の貿易会社の傘下に置くなど、かつてのような、各地方で勝手気ままに貿易をする体制への復帰を望んでいないようだ。

ある幹部は「貿易が3月に再開されるとの話が多いが、明確な貿易指標は今のところ下されていない。現在貿易ができずにいる両江道や咸鏡北道(ハムギョンブクト)で一部の貿易が許可される可能性はあるが、それも国の主導の下に行われるだろう」と述べ、以前のような貿易体制に戻る可能性を否定した。

ただ、貿易なしには回らないのがこの地域の経済である。国がすべての貿易をコントコール下に置くという目論見が成功するかは不透明だ。