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北朝鮮の今年の稲作は、最高気温が25度を超える、初夏のような陽気と共に始まった。昼間は暑いが、夜の気温は0度近くまで下がる。大切な苗を霜から守るのに必要なのがビニール膜だが、例年これが不足して、農業従事者はその調達に難儀していた。だが、今年は少し事情が違うようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋によると、平原(ピョンウォン)郡の協同農場では先月29日から、稲の苗床作りが始まった。今年は、国が中国から大量に輸入したビニール膜を供給してくれるという「珍しいこと」(情報筋)が起きた。

先月中旬から黄海の封鎖が解除され、海を通じた貿易が増え、南浦(ナムポ)港を通じて輸入される積荷で最も多いのはビニール膜だという。

北朝鮮は2020年、海水からも新型コロナウイルスが流入しうるとして、船での貿易も禁止した。それによって物価が高騰し、様々な物資が不足するなど、経済に大きなダメージを受けた。それのみならず、食糧不足で餓死者が出る事態となった。

(参考記事:金持ちも餓死「希望拷問」に苦しむ北朝鮮の人々

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2021年下半期から、ごく限定的ながら船での貿易が再開され、中国のゼロコロナ政策の終了に伴い、中朝両国の国境警備が緩和された。当局は同時に、農業に必要なビニール膜が輸入できるように措置を図ったとのことだ。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋も、自身が働く龍川(リョンチョン)郡の協同農場に先月24日、ビニール膜が供給されたと伝えた。これは、丹東から新義州(シニジュ)に向かう貨物列車で輸入されたものとのことだ。

2月26日から3月1日にかけて開催された朝鮮労働党中央委員会第8期第7回総会拡大会議で金正恩総書記は、農業発展と穀物増産に力を入れるよう訴えたが、今回のビニール膜の大量輸入はその対策の一環と見られる。

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過去3年間は、ビニール膜が供給されず、古くボロボロになったものを何度も再利用していたが、今年からはその必要もなくなり、農場の幹部は胸を撫で下ろしているという。

ビニール膜だけではなく、肥料や他の営農資材を中国から輸入するため、貿易会社が中国側の業者と商談を活発に行なっているとのことだ。

ビニール膜とは異なり、肥料は国内生産が可能なものだが、国内生産分だけでは需要が満たせないため、その穴埋めとして、輸入品が使われてきた。しかし2020年以降、輸入がストップし、肥料もろくに使えない状態となっていた。その結果が深刻な不作だ。

(参考記事:北朝鮮有数の肥料工場、コロナ鎖国で部品がなく生産中断

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ビニール膜が、全国の農場に等しく供給されているかは確認されていない。また、水や人手の不足、自然災害など様々なリスク要因が存在するため、今年の収穫がどうなるかは蓋を開けてみなれけばわからない。

(参考記事:始まる前から不作が予想される北朝鮮の麦栽培