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平安南道(ピョンアンナムド)の安州(アンジュ)にある南興(ナムン)青年科学連合企業所は、北朝鮮有数の肥料工場だ。1970年代から稼働を始め、石炭ガス化を用いた化学肥料の生産に注力してきたが、設備の老朽化により、ここ数年は断続的に稼働を中断している。

現地のデイリーNK内部情報筋は、また最近になって、問題が発生していると伝えた。設備が50年を超えて老朽化が深刻となり、中でも空気圧縮機は設備の増設に伴い、容量不足も重なるダブルパンチを受けている。

部品の交換が必要となっているが、コロナ鎖国により輸入が滞り、それすらもできない状況だ。大型圧縮機の部品を自主開発して、自力更生、リサイクル化が進んでいる工場として評価を受けたが、高度な技術を要する部品の製造をその場しのぎでやっているに過ぎず、現場の技術者はいつ問題が起きるかわからないため、常に緊張を強いられていた。

そして案の定、圧縮機のベアリングが破損し、ガス洗浄でも何らかの部品が破損したため、生産が完全に止まってしまった。予備の部品が全くない状態で、結局は現場の技術者が作るしかない。

このような生産中断は今までも度々繰り返されている。

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韓国貿易協会(KITA)の発行する北朝鮮貿易月間ブリーフ2021年1号は、現地の関係者の話を引用して、輸入に頼っている石炭ガス化工程の部品不足で生産が中断、高圧バルブ、高圧噴射機などが摩耗し、交換しなければならないが、部品がなく1週間生産が止まっていると報じた。

それなのに、上層部からは生産量を増やせとプレッシャーを掛けられ続けた結果、爆発事故が起こり、多数の死傷者が出ている。

(参考記事:北朝鮮で大規模爆発…「労働者の命を軽視」住民から批判

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昨年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会で、金正恩総書記は農業問題について多くの時間を割いて語った。それほど農業、食糧問題の解決は喫緊の課題だが、部品を輸入に頼り、技術的裏付けのない部品開発を強いる状況が続いており、再度の生産中断や事故発生は時間の問題だろう。

(参考記事:中国の輸出規制で北朝鮮の肥料工場が稼働ストップ寸前