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全世界的に見て、数千万単位の人に影響が出る大規模停電は毎年のように起こっている。最近はパキスタン、バングラデシュなどで停電が頻発しており、今年1月にパキスタンで起きた大停電では、同国人口の99%が影響を受けた。

人口がパキスタンの10分の1以下の北朝鮮でも、停電が非常に頻繁に起きている。電力供給は産業用が優先され、一般の民家には電気がなかなか来ないのが当たり前。マンションのエレベーターは動かず、ポンプも作動しないため水道が使えない。列車が長時間に渡って立ち往生するのも日常茶飯事だ。

(参考記事:頻繁な停電で中止になる北朝鮮のリモート大学入試

国はたびたび電力問題の解決を訴えているものの、もともと雨の少ない気候の北朝鮮で、水力発電に電力生産の6割を依存していることから、渇水期に思うように発電ができず、一向に解決しない。そんな中で、改めて注目されているのが太陽光などの自然エネルギーだ。

(参考記事:30年前に失敗した「中小型水力発電所」の建設を再び推進する北朝鮮

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、朝鮮労働党咸鏡北道委員会(道党)は3月25日に総会を開き、エネルギー問題について議論した。自然エネルギーを使って道内で電力生産を行い、工業を発展させ、一般住民用の電気も解決せよという国の指示に基づいたものだ。

その場では、清津(チョンジン)市内に、国家電力網から切り離された太陽光発電所を建設し、試験的に運用することが決められた。国から電気を供給してもらうのではなく、道内で発電を行い、逆に残った電気を国に提供しようというものだ。

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北朝鮮は現在、国連安全保障理事会の制裁で、原油の輸入ができなくなっている。頼みの綱は、中国から援助の形でパイプラインを通じて送られる原油だが、量が限られており、国内で産出する石炭を使うしかない。太陽光発電所で電力が賄えるようになれば、石炭を別の現場に回すことができる――道党はおそらくこのような理屈で動いているものと思われるが、そこに問題が立ちはだかる。資材の調達難だ。

道党は、「ソーラーパネルは国が限定なしに推奨する輸入品目となっている」として、発電所に使われるソーラーパネルの7割を中国から輸入することを許可した。残りの3割は国産ということだが、部品は中国製で北朝鮮国内で組み立てるだけに過ぎないとの指摘がある。また、上述の国連制裁で、太陽光発電所の建設に必要な資材の輸入ができなかったとの事例もあるため、ソーラーパネルを含めた資材の調達が順調に進むかは不透明だ。

また、名古屋市とほぼ同等の230万の人口を抱え、大規模な工場を多数擁する咸鏡北道が、太陽光発電で電力需要を賄うには、かなりの規模の発電所が必要になる。そうなれば、山の木々を切り倒して敷地を確保するしかなくなるが、それは国の緑化政策に反する。

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(参考記事:北朝鮮・羅先でメガソーラー計画始動も「メガ」にならない恐れ

道党は、清津市内の街灯の85%以上が、午後7時から11時までの4時間灯っていると自慢げに語り、清津市を手本とせよと述べたと伝えられている。それが自慢になるほど電力事情が劣悪ということだが、太陽光発電所の建設は順調に進むのだろうか。