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北朝鮮の国営メディアは、様々な法律の制定を報じる。しかし、その具体的な内容にふれることはなく、またどこからも公開されない。

1月の最高人民会議(国会に相当)第14期第8回会議で採択された「平壌文化語保護法」もその例外ではない。韓流ドラマ、映画の影響を受けた若者の間で広まっている、韓国風の言葉遣いを取り締まるものだが、詳細はわかっていなかった。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、韓国のキリスト教団体のJM宣教会を通じて、「新たに採択された平壌文化語保護法の求めをよく知り、徹底的に守っていくことについて」と題された文書を入手したと報じた。これは先月初旬に幹部に配布されたもので、同法を詳しく解説したものだという。

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この文書を信じるならば、平壌文化語保護法は合計5章、65の条文からなる。法律はまず、傀儡の言葉、つまり韓国風の言葉遣いを次のように定義している。

「語彙、文法、アクセントなどが西洋化、日本化、漢字化し、朝鮮語の根本を完全に喪失したごった煮言葉で、この世に存在しないような汚らしく吐き気のするゴミのような言葉」

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法律の58条から65条は、違反者の処罰に関して明記されている。

58条は「傀儡(韓国)の言葉遣いで話したり、文章を書いたり、通報文(携帯メール)、Eメールを送受信したり、傀儡の書体(フォント)で表記された印刷物、録画物、編集物、絵画、写真、冊子などを作った者は、6年以上の労働教化刑(懲役刑)に処す」と定めている。また、罪状の重い場合は、無期労働教化刑または死刑に処すとも書かれている。

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59条は、上記のものの流通に関与した場合は、10年以上の労働教化刑、罪状の重い場合は、無期労働教化刑または死刑に処すとしている。

60条は、価格表、食堂などのメニュー、広告に非規範的な言語を使った場合、「傀儡の言葉遣い除去用プログラム」がインストールされていないデジタルデバイスを使った場合、子どもに対する教育を怠った場合、当局の承認を受けていない外来語を使った場合、新語を審議機関の承認なしに使用した場合、機関、企業所は100万北朝鮮ウォン(約1万6000円)から150万北朝鮮ウォン(約2万4000円)、個人は10万北朝鮮ウォン(約1600円)から15万北朝鮮ウォン(約2400円)の罰金刑に処すと明記されている。

ここで触れられている「傀儡の言葉遣い除去用プログラム」だが、同法の18条で携帯電話、パソコンへのインストールが義務付けられている。一種の監視用ソフトと思われるが、詳細は不明だ。

(参考記事:サポート終了の古いスマホで監視を回避、北朝鮮携帯ユーザーのライフハック

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62条は、インターネットに対する監視を規定通りに行わず、「傀儡の言葉遣いのカス」が広まった場合、責任者を3カ月以上の無報酬労働に処し、それでも再発したら解任・撤職(更迭)に処すとしている。「傀儡の言葉遣いのカス」とは、韓国風のIDやユーザー名を指す。北朝鮮のネットゲームでは、韓流の影響を受けた個性あるユーザー名が広く使われているとのことだ。

また、これと関連して第4章は、「親が子どもにウリマル(朝鮮語)を積極的に使うように教育し、携帯電話、パソコンの使用に常に関心を払い、彼らの頭の中に少しでも汚れた思想が入らないようにすることについて規定している」と、文書は解説している。

(参考記事:「わが国の言葉は消滅の危機に」文化の浸食に悩む北朝鮮

63条は、韓国風の言葉遣いやフォントを使った商品を売った店には閉業処分を下すとしており、64条は、同法に抵触する犯罪に利用された金品は没収すると定めている。

一方で、この法律は国境警備の強化についても触れている。

解説によると7条は、国境における検査と警備勤務、敵地物資(ビラ)などの対する空中監視及び創作を強化する問題、河川、海への監視、ごみ処理を正しく行い、対外事業または対外経済活動家庭に傀儡の言葉遣いのカスが流入する通路を残りなく探し出して対策を立てる問題、他国に出張、私事旅行に行く公民とインターネット利用者、他国の出版宣伝物、電気、電波設備に対する掌握、統制を強化する問題について規定している。