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北朝鮮は、ロシアに派遣した2万人とも言われる労働者の一部を、ロシアが先月30日に一方的に併合を宣言したウクライナの4州のうち、ドネツィク、ルハンスクのいわゆるドンバス地域に再派遣する計画を進めている。

労働者は「戦後復興」に当たるとの名目だが、いずれの州も現在、激戦地となっている。ウクライナ軍は、今年2月にロシア軍が侵攻を始める前から、親ロシア勢力が支配下に置いていた地域に迫る勢いだ。ロシアメディアを通じて情報を得ている労働者は、前線に近いところに派遣されるのを恐れて、相次いで逃亡を図っている。

(参考記事:「ウクライナ行きは嫌だ」戦地派遣を恐れ北朝鮮労働者の離脱が相次ぐ

あてが外れた北朝鮮は、派遣人員を国内で募集することにした。その詳細を、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

首都・平壌と各地方では今年7月から、「ドンバス再建事業」に派遣する労働者の選抜事業を始めた。集めた人員の数は800人から1000人。彼らは30人から60人からなるグループに分けられ、複数回に分けてロシアに出国する予定だ。

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情報筋はその正確な時期はわからないとしつつも、11月初めから一部を派遣する計画だと明らかにした。北朝鮮は、戦況を観察しつつ、派遣時期を見極めようとしており、追加の人員募集も予定している。

今回、ドンバスに派遣される労働者だが、ほとんどが地方出身者だという。平壌に比べて情報が少なく、現地の状況を詳しく知らない上に、コロナ鎖国で収入が途絶えた人も多い。座して死を待つよりも、1ドルでも稼げたほうがいいと考える人もいるようだ。

(参考記事:食糧難の北朝鮮で「灰」を盗んでトウモロコシに替える人が続出

一方で平壌では、いくらロシアが占領しているとは言っても戦争状態にあるため、非常にリスキーだと考え、応募しようとしない人がほとんどだとのことだ。

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労働者は、いったんロシアへ行き、ドンバスへ向かう。北朝鮮からロシアへは、北東部の羅先(ラソン)から鉄道で直接行く案と、平壌の順安(スナン)国際空港から高麗航空便で中国の北京へ入り、そこからモスクワやサンクトペテルブルクに向かう案が検討されている。

労働者の移動については北朝鮮、ロシア、中国の3カ国で協議が行われ、ドンバスに北朝鮮労働者を派遣することは国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に違反しないとの見解で一致したという。また中国は、自国を経由するだけなので見て見ぬ振りをすることにしたとのことだが、北朝鮮はロシアに直接送り込むことを有力な案として検討中だ。

国連安全保障理事会で2017年12月22日に採択された制裁決議2397号は、すべての国連加盟国に北朝鮮労働者の新規雇用を禁じ、すでに派遣されていた労働者についても2019年12月22日までに送り返すことを義務付けている。だが、技能実習制度などを悪用する形で、ロシアと中国への労働者の派遣が続けられている。

(参考記事:ロシア派遣の北朝鮮兵士に不穏な空気…上官に反抗、逃亡も