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北朝鮮の故金正日総書記は1984年、「国土管理事業を改善強化することについて」という労作(金氏一家の著作)を発表した。この鶴の一声をきっかけに、植林、河川、道路、堤防の整備、環境保護などが強化されることになった。

1996年10月に「国土管理総動員期間事業」が行われるなどしたが、当時は未曾有の食糧難「苦難の行軍」に突入した頃だ。食糧配給が途絶したことで餓死者が続出する中、人々が生き残るため、山を切り開き畑を耕したことで、さらに環境破壊が進んだ。

金正恩政権になってから、植林を中心とした事業が改めて展開されたが、そのやり方は非常に荒っぽいもので国民の反感を買っている。

(参考記事:食糧確保のため庶民の畑を奪う金正恩と「10年前の悪夢」

そんな国土管理事業だが、コロナ鎖国下で食糧難が深刻な状況となっている中、様々な問題が生じているようだ

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両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の三水(サムス)郡では秋の国土管理事業の一環として協同農場、企業所、学校、人民班(町内会)に灰を配布した。収穫を終えた畑に撒いたり、建物の塗装に使ったりするものだ。

ところが、その灰の盗難が相次いでいるのだ。

今のところ犯人は捕まっていないようだが、絶糧世帯(食べ物が底をついた世帯)となった人々が、建物の外に積まれていた灰を盗み、市場でトウモロコシと交換した、というのが事件の真相のようだ。

(参考記事:「カエルも食べない水草」で飢えをしのぐ北朝鮮の農民たち

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郡当局は、一連の犯罪を国家財産貪汚罪として扱うとして警告を下す一方で、農場、工場などに対して自主的に灰を調達し、すぐにでも国土管理事業に取りかかれと指示を下した。

「郡は『灰一掴み、たらい一つくらいなら大丈夫と言って盗んで私腹を肥やす行為は、国のことは眼中になく、自分さえ腹が膨れればいいという個人主義思想から生まれたものだ』として、根絶やしにすると宣言した」(情報筋)

明日食べるものがなく苦境に立たされている人々の行為は、「私腹を肥やす」ためのものではなく、生き残るために仕方なくやったことだろう。住民の生活対策が眼中にないこんなやり方では、反感を買うだけだ。

(参考記事:ワイロが途絶え生活苦に追い込まれた北朝鮮の幹部たち

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実際、住民の間からは「かつては灰を少し持っていったところで何の問題にもならなかったのに、どれだけ生活が苦しければ灰を全部盗み、トウモロコシにしたのだろうか」と、生活の苦しさを訴える声が上がっている。