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韓国では今月8日と9日、首都・ソウルを中心にゲリラ豪雨が降り、一部地域では1日の降水量が400ミリを超え、浸水被害が続出した。

一方の北朝鮮では、7日と8日に大雨が降り、国営の朝鮮中央テレビの天気予報によると、7日0時から8日19時の間に、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)で192ミリ、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)で160ミリ、韓国にほど近い開城(ケソン)で127ミリ、黄海北道(ファンヘブクト)の沙里院(サリウォン)で111ミリの降水量を観測したと伝えている。

その後も大雨警報が出されるなど、不安定な天候が続いているが、黄海道では農作物に大きな被害が出ていると、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

黄海北道の金川(クムチョン)、兎山(トサン)、軍事境界線に接する長豊(チャンプン)では、数十ヘクタールの田んぼ、大豆畑が浸水被害を受け、トウモロコシが強風でなぎ倒されるなどの被害が発生した。

また、黄海南道(ファンヘナムド)の青丹(チョンダン)、白川(ペチョン)、延安(ヨナン)の一部地域では、大雨と強風で、農地が破壊される被害を受けた。

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青丹郡の雲谷里(ウンゴンリ)と清井里(チョンジョンリ)では、農地が浸水し、住宅や施設が破壊され、人的被害が発生した。また、白川の協同農場の被害も非常に大きいとのことだ。

家を失った被災者に対して、当局は何の支援も行っていないため、農場の作業班の休憩室や託児所などを避難所にして暮らしている。

当局は国営メディアなどを通じて、耳にタコができるほど「大雨から農作物、農地を守れ」と繰り返しているが、被害を未然に防止するための対策や被災者への援助は一切行っていない。

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情報筋は、「現地では被害を防ぐための作業が行われていたが、連日の大雨と強風で間に合わず、被害を防ぐのは容易ではない」と述べている。

こうなると懸念されるのは、今年の冬から来年の初夏にかけての食糧問題だ。常に食糧が不足状態にある北朝鮮だが、春の少雨、夏の大雨で麦、トウモロコシ、ジャガイモなどに大きな被害が出ており、例年の今頃なら落ち着きを取り戻している食糧事情が、今年は未だに逼迫している。

(参考記事:大雨に猛暑で深刻な北朝鮮のジャガイモ不作、収穫放棄地も

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北朝鮮の農業は、インフラの未整備、非効率的な集団農業、各種資材の不足など、様々な理由で、毎年のように凶作が続いており、コロナ前までは、中国からの輸入や国際社会からの援助で乗り切ってきた。しかし、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐとの理由で、貿易が止められてしまい、肥料などの営農資材はもちろん、食糧そのものも入ってこなくなってしまった。

貿易の早急な再開が、北朝鮮国民を飢えから救う道だ。

(参考記事:毎年凶作の北朝鮮農業、何が問題なのか?