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朝鮮半島の水道の歴史は、1880年に釜山に住んでいた日本人がお金を出し合って竹の管を使った水道を埋設したことに始まる。1895年には濾過装置を設置した近代的な水道が出来た。ソウルでは英国人、米国人の手により1908年に大規模な浄水場が完成し、本格的な水道事業が始まった。それから2年後、日本による植民地支配が始まった直後の1910年5月に平壌でも浄水場が完成した。(韓国国家記録院「水道関連記録物の開設と解除第4部」より)

このように、朝鮮半島の水道事業は列強の手によって進められた歴史がある。平壌にも朝鮮総督府が設置したマンホールが残っている(外部リンク)ことからもわかるように、水道設備の老朽化が進んでいると、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

平壌市内の家庭では最近、水道の蛇口をひねると泥水が出るようになった。施設の老朽化が原因と思われるが、調査が行われているかどうかを含めて詳しいことについて情報筋は言及していない。

多くの人は水道水の利用を避けているが、飲水として使っていた人の中には、病気になるケースも出ている。それでも水が出るだけマシだ。最近に入って平壌では、水道の供給そのものが円滑に行われれなくなっている。

「電気は日に1〜2時間供給されるが、水は3〜4日供給されないこともある」

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一時は中国からの援助で正常化しつつあった電力の供給だが、今年に入ってからは再び悪化していると伝えられている。

(参考記事:「使えるのは1日たった3時間」北朝鮮の電力難、制裁で悪化

電気と水道の供給には密接な関係がある。マンションの上層階まで水を送り届けるには、ポンプが必要だからだ。北朝鮮でマンションの高層階の人気がないのは、電力供給が円滑に行われれないため、水道やエレベーターが使えないからだ。水道が出ない場合には、地上にある水道設備や井戸まで水を汲みに行くしかない。

水道が使えないことから、高層階の住民の中には、信じられない方法で「トイレ問題」を解決する人々がいるぐらいだ。

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(参考記事:金正恩氏、日本を超えるタワーマンション建設…でもトイレ最悪で死者続出

「洗面台やトイレで水が使えないのが腹立たしい」 「暑い日に行水をしようにもそうもいかずつらい」

水道の供給再開をじっと待っている北朝鮮の人々ではない。もはや国営の水道は信頼できないとして、余裕がある家ではミネラルウォーターを大量購入したり、水タンクを設置したりして、水の「自力更生」に乗り出した。

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水1000リットルが入る1トンタンク、小さめの200リットルタンク、余裕のない家ではペットボトルに水を入れて断水を耐え忍んでいる。

平壌郊外の平城(ピョンソン)では今年3月、水道管の破裂で断水となり、大同江で汲んできた水を売る「水屋」が流行していると伝えられたが、同様の商売が平壌でも広がっているのか、水をリヤカーで運ぶ人が目につくと情報筋は伝えている。

(参考記事:「昭和天皇も飲んだ」北朝鮮が熱を上げるミネラルウォーター商売

このように北朝鮮の水道インフラは老朽化が非常に激しく、問題だらけだ。

国連食糧農業機関(FAO)が今年2月に発表した報告書「2019北朝鮮の人道主義必要と優先順位」によると、全人口の39%が安全に管理された水源にアクセスできていないという。また、韓国交通大学のイ・ホシク教授は今年3月に韓国・大邸で開かれた国際水産業博覧会の北朝鮮上下水道に関するセッションで、北朝鮮の飲用水水源水質の23.5%が大腸菌に汚染されており、水道水はそのまま飲むには適していないと述べた。

それでも水道設備があるだけまだマシだ。

平壌から南東に80キロほど離れた、黄海北道(ファンヘブクト)の遂安(スアン)、新渓(シンゲ)、谷山(コクサン)は、これまでの歴史で一度も上水道の恩恵を受けたことがないという。地域によっては、水汲みの往復8キロものの道のりを行き来することになる。しかも、確保できるのは汚染された水だけだ。