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米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、北朝鮮当局が先月18日、平壌の和盛(ファソン)地区で進めている住宅建設プロジェクトに動員された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士に対して、中国から取り寄せたワクチンの接種を行ったと報じた。

また、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸州(ハムジュ)郡の連浦(リョンポ)温室農場の建設に動員された兵士に対しても、ワクチン接種が行われたとも報じている。

(参考記事:金正恩「愛のワクチン」演説に北朝鮮国民は冷たい視線

一方、黄海南道(ファンヘナムド)の軍事境界線に近い地域に駐屯する兵士に対しても接種が行われていると、現地の情報筋がRFAの取材に明らかにした。

甕津(オンジン)郡と長淵(チャンヨン)郡に駐屯する、第4軍団の第33歩兵師団、海軍西海艦隊の第8戦隊所属の兵士のうち、農村での田植え戦闘などに動員された者や、警務中隊(憲兵中隊)、通信大隊、師団の軍医所、後方支援(兵站)大隊所属の兵士に対して、接種が行われた。

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ただ、ワクチンの量が足りていないようで、接種は上述の通り、部隊の外に動員された者に限られている。部隊では発熱患者が続出しているが、軍当局は、ヨモギを燻した煙で消毒したり、塩水でうがいさせるといった民間療法を用いるよう推奨しているという。

このような民間療法は、当局や国営メディアが一丸となって宣伝に努めているが、コロナ対策として有効とは言えず、消毒薬、治療薬、ワクチン不足を補う苦し紛れの手法と言えよう。

(参考記事:鼻うがい、柳の葉…北朝鮮政府が推奨する「対コロナ民間療法」

軍内には、ほとんどワクチン接種の機会を与えられないところもあるようだ。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、現地に駐屯する第9軍団のうち、ワクチン接種を受けられたのは海岸警備隊、警務部(憲兵隊)、軍医所などごく一部に限られていると伝えた。

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第810軍部隊傘下の石幕(ソンマク)大西洋サケ種漁場と洛山(ラクサン)海サケ養魚事業所は、2015年5月に金正恩総書記が視察に訪れおり、特別扱いされてもおかしくない機関だ。そんなところですら、接種対象から外されてしまったとのことだ。

こうした状況に、軍内では不満の声が上がっている。一方、「(ワクチンが足りない)おかげで面倒な農村動員を免じられてむしろよかった」という声もあるとのことだ。

(参考記事:「コロナワクチン接種したら毒におかされる」北朝鮮軍に謎の論理

それでも、軍関係者はまだ恵まれている方だ。地方に住む民間人は、ごく一部を除いてはワクチン接種が受けられない。別の情報筋によると、民間人は軍や病院から横流しされ、市場で売られているワクチンを買って接種するしかなく、薬代と謝礼金を合わせて55万北朝鮮ウォン(約約1万1000円)という、目の飛び出るほど高価なものになっている。

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ただ、首都・平壌に住む住民は、半分ほどが接種を済ませたとのことだ。