金正恩「愛のワクチン」演説に北朝鮮国民は冷たい視線

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5月30日18時の時点で、発熱患者の累計が364万5620人に達した北朝鮮では、一部で新型コロナウイルスのワクチン接種が進められているようだ。

平壌市の幹部が、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、市内の和盛(ファソン)地区で進められている住宅建設に動員された兵士に対して、ワクチン接種が行われた。

接種は旅団ごとに設けられている現場衛生所で、派遣された軍医により行われた。それに先立ち、あたかも国家的行事であるかのように、建設指揮部の幹部が総動員された上で式典が開かれ、「国が苦しい中でも(金正恩)総書記同志はコロナワクチン輸入を決定された」「最高尊厳(金正恩氏)がくださった愛のワクチン」などと言った政治宣伝が繰り返されたとのことだ。

テントでの集団生活を余儀なくされている兵士たちは、コロナの感染拡大のニュースを聞いて震え上がっていたというが、ワクチン接種が叶って感動し「万歳」を叫ぶ者すらいたという。

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咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は、咸州(ハムジュ)郡の連浦(リョンポ)温室農場の建設に動員された兵士も中国製ワクチンの接種を受けたもようだと伝えた。

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連浦温室農場は、金正恩氏が2月18日の着工式に出席し、朝鮮労働党創建日の10月10日までに完成させよと命じた国家対象建設で、動員された兵士は昼夜を分かたず作業に当たっているが、そのため、他より優先してワクチン接種を行ったとのことだ。

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こちらでも、「愛の不死薬」「最高尊厳の愛のワクチン」などと言った政治宣伝がなされているが、地域住民は、放送車(街宣車)が流す金正恩氏を褒め称える演説に呆れた様子で、一部の兵士が「万歳」を叫ぶ姿にも、「単なる演出だ」と冷たい視線を送っているとのことだ。

(参考記事:「思想と信念で病気は治らない」北朝鮮の政治宣伝に国民反発