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例年と比べて田植えが遅れていると伝えられている北朝鮮。国営メディアは田植えが完了したと報じているが、韓国の慶南大学国土衛星情報研究所のチョン・ソンハク副所長の分析によると、今月12日の時点での穀倉地帯5ヶ所の平均田植え達成率は81.3%で、昨年と比べて8.4%も遅れている。

(参考記事:金正恩体制、水面下で進む危機…「田植え戦闘」コロナで打撃

遅れているのは田植えばかりではない。本来なら今月中旬には終わっているはずの小麦、大麦の収穫も遅れているのだ。詳細を、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

平安南道の農村経営委員会は最近、各農場の収穫状況について評価するために、各市・郡の農村経営委員長と農業機械工場の支配人らを呼び集めて、緊急会議を開いた。

朝鮮労働党平安南道委員会の組織部長は、各経営委員長を順番で立たせて、大麦と小麦の収穫が不振である理由について問いただし、対策を立てるように指示した。しかし、いずれの委員長も、コロナ対策による移動制限で労働力と食糧、資材が非常に不足しているという答弁をするにとどまった。

金正恩総書記は昨年9月の最高人民会議第14期第5回会議の施政演説で、次のように述べている。

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農作物の配置を大胆に変えて稲作と小麦、大麦の栽培に方向転換をするという構想を明らかにし、全国的に水稲と陸稲の栽培面積を増やし、小麦、大麦の播種面積を二倍以上に保障し、ヘクタール当たりの収量を高めて人民に白米と小麦粉を保障して食生活を文化的に改善することのできる条件を整えなければならない。

(参考記事:「米国の対話申し出は欺まん」金正恩氏、最高人民会議で演説

本来は救荒食物であるはずのトウモロコシの栽培が、ここ30年常態化していたが、これを麦へと切り替え、国民の食生活を改善させるというものだ。指示に基づいて麦の栽培面積が増やされ、平安南道でも3割増やされた。しかし、適時に種まきができず、干ばつにより作況も芳しくない。

さらに、収穫と脱穀を同時に行えるコンバインは、大規模な農場ですらあまり普及しておらず、収穫は人手頼りとなるが、それに必要な「鎌」が不足している有様で、収穫が計画より遅れているのだという。

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この日の会議では、鎌の調達方法について議論がなされるような状況だったとのことだ。

(参考記事:米国の衛星が捉えた金正恩「危機的な状況」の証拠写真

麦に追いやられ栽培面積が減らされたトウモロコシだが、食糧難の中で価格上昇が続いている。2020年1月には1キロ1200〜1300北朝鮮ウォン(約24〜26円)で取り引きされていたのが、最近ではその3倍まで跳ね上がっている。

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トウモロコシが救荒食物としての本領を発揮すべきときなのに、北朝鮮農業の現実を直視せず、麦への切り替えを図るという金正恩氏の思いつきのせいで、北朝鮮の人々は、さらなる困窮に追い込まれようとしている。

(参考記事:毎年凶作の北朝鮮農業、何が問題なのか?