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北朝鮮では、携帯電話の普及は世界的な水準からすると最も遅れている。ただ、その数が着実に増えているのも事実だ。人口約2500万人の国で、500万台から600万台が使われており、首都・平壌での普及率は非常に高いと伝えられている。

そんな携帯電話は、コロナ対策にも使われている。だが、ユーザーからの評判は今ひとつだと、デイリーNK内部情報筋が伝えた。

中央非常防疫本部は、携帯メールやプッシュ通知を使って、コロナ対処方法に関する情報を携帯ユーザーに配信している。国営の朝鮮中央通信は、情報産業省がコロナ治療方法と関連情報を入手すれば、すぐに全国のユーザーに配信するサービスを行っていると伝えている。さて、その内容だが、次のようなものだ。

○有熱者(発熱患者)、隔離者は、いかなる薬を使用する場合でも、専門の医療イルクン(従事者)の指示に従うこと
○ペニシリンとセフトリアキソン(抗生剤)は、専門医療イルクンによる抗生剤反応試験を行ってから使用すること
○解熱剤やプレドニゾロン(ステロイド)は1日に1回だけ使用すること

これ以外にも、咳や痰が出る場合に、どのようにして抗生剤、解熱鎮痛剤を使うべきかなど、詳細な情報も含まれている。北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞も、このような見出しの記事を掲載している。

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「薬物副作用を防ぐための数種類の対策」
「新型コロナウイルス感染資料案内指導書」
「後遺症治療方法」
「オミクロン変異ウイルス感染による最初の症状が現れたときの治療方法」

これらの情報、実際はあまり「使えない」ものだ。

北朝鮮では、コロナが現れるはるか前の1990年代後半に「医療崩壊」が起きている。誰でも安心して無料で治療が受けられる「社会主義保健制度」が破たん、病院で診察を受けるにはワイロが必要となり、薬は市場で買って飲むのが常識になっている。薬の使用時には「専門の医療イルクンの指示に従え」という、一見当たり前のことが、当たり前ではなくなっているのだ。

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(参考記事:北朝鮮女性、市場で購入したペニシリンを注射して死亡

また、2020年1月からのコロナ鎖国により、多くを輸入に頼る医薬品が不足し、そもそも手に入らない。

「地方や一般世帯では、ペニシリンやプレドニゾロンなど一つもない」(情報筋)

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さらに、どれを何グラム、1日に何回と言う医療従事者向けの説明を読まされたところで、一般国民は理解できない。

「通知で知らされた方法でやろうとしても、内容が複雑すぎて実践するには面倒だ」
「病院にも行けないのに、薬の使い方について医者化の話をどうやって聞けばいいのかわからず、飲むように指示されたところで、手に入らない」
(情報筋)

根拠不明な民間療法を推奨する内容が含まれていることもあり、市民を困惑させているとのことだ。

(参考記事:鼻うがい、柳の葉…北朝鮮政府が推奨する「対コロナ民間療法」

一方、地方では携帯電話を持っていない人が多く、「同じ空の下で暮らしているのに別の国の人のようだ」「国は社会主義なのに、携帯電話の供給は資本主義式だ」「テレビで宣伝放送で教えてくれない内容も含まれており、携帯電話がなければ他の手段で情報を得るしかない」などと言った声が上がっている。