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北朝鮮が、先月12日に新型コロナウイルスの感染者の発生を公式に認めてから続けられてきたロックダウンが、一部緩和されたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平壌市のある幹部はRFAに対し、先月29日正午から、コロナ最大非常防疫体系が部分解除されたと述べた。同時に、全国の道・市・郡に、現地の事情に応じてロックダウンを緩和せよとの指示が下された。

この部分解除とは、居住行政区域内の一定地域内での移動が可能になったことを指す。これにより、近隣の市場、農場、トゥエギバッ(個人耕作地)などへの移動ができるようになった。

(参考記事:ロックダウンで追い詰められる北朝鮮の地方住民

部分解除の理由についてこの幹部は「コロナの感染状況が安全に統制、管理される段階に入ったため」だと明らかにしている。その一方で、発熱患者が引き続き発生しており、隔離施設に収容される人も多いことから、安全に統制・管理しているという当局の話は信じられないとも語っている。

ちなみに、今月5日18時からの24時間で全国で報告された発熱患者の数は6万1730人で、ピーク時(先月14日18時からの24時間)の39万2920人に比べると大幅に減っている。ただ、発熱患者を減らせとのプレッシャーが地方幹部にかけられており、処罰を恐れるあまり、過少報告や虚偽報告が行われているのではないかとの疑惑がある。

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咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋も、先月29日からロックダウンが部分解除されたと伝え、理由はともかく、一般市民は市場へ行くなど経済活動ができるようになったため、この措置を歓迎していると述べた。

この部分解除だが、生活に欠かせない地域への移動を認めるもので、自分の畑や市場への移動を禁止され、食べ物が得られずに飢えた末に死亡する人が複数発生したからだと、背景を説明している。

「高原(コウォン)炭鉱などの炭鉱、鉱山地域では封鎖令(ロックダウン)で、住民が食糧を入手できず、餓死者が出たと聞いている。市場や穀倉地帯から遠く離れた炭鉱、鉱山地域の食糧不足が深刻だ」(情報筋)

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ちなみに全国に先駆けて、一部の地域では部分解除が行われていたが、その理由も餓死者の発生だ。

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ロックダウンに伴う餓死者の発生で、街の雰囲気が悪化したことを受けて、中央では部分的に緩和措置を取ったようだと情報筋は見ている。また、発熱患者の減少も理由の一つに挙げている。

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一方、5月に入ってから全国的に行われている「田植え戦闘」に、ロックダウンが深刻な影響を及ぼしているために、緩和措置が取られたケースも報告されている。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、先月25日から、女盟(朝鮮社会主義女性同盟)の殷山(ウンサン)郡の委員長がメンバー全員に対し、郡内の協同農場での田植え戦闘への動員に参加せよとの指示を下したと伝えた。

これは、ロックダウンにより田植えの遅れが深刻なことを受けた中央の指示に基づくものだ。平安北道(ピョンアンブクド)の情報筋も、定州(チョンジュ)で、女盟員と一般住民に田植え戦闘への動員命令が下されたと伝えた。ただ、この時点では、市場への移動は禁じられており、住民から強い不満の声が上がっていたとのことだ。

(参考記事:北朝鮮、コロナ拡散で「田植え」難航…秋の収穫に懸念