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北朝鮮では5月12日、国内での新型コロナウイルス感染者を公式に認めた後、全国的に封鎖令(ロックダウン)を敷き、一切の外出が禁止された。ただでさえ食糧事情が逼迫している中で実施されたロックダウンで、食べ物を入手できずに餓死する人が続出している。

状況の深刻さに、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)では、ロックダウン措置が一部緩和されたが、深刻なのは恵山だけではないようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:「一家全滅、10人餓死」も…金正恩“封鎖解除”のウラで何が

恵山よりさらに奥地の白岩(ペガム)の情報筋は、コロナ感染よりロックダウンにより食べ物が底をつくことへの心配が大きいとし、あちこちから窮状を訴える声が上がっていると伝えた。

市場で商品を販売して、得た利益で食べ物を購入して生計を立てていた人々は、ロックダウンが10日以上となり、手元に食べるものが全くなくなり苦しんでいるが、当局は一切の支援を行っていない。

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日が暮れると、村の路地裏では、安全員(警察官)や非常防疫組の目を避けて、メットゥギ市場(非公認の露店)が立ち、野菜や生活必需品などが密かに売られているが、穀物を売っている人はさほどいないという。

人々は挨拶言葉のように「食べ物がなくなって餓死しそうだ」と話を交わしている。情報筋の家には前日の夜、近隣に住む女性が食べ物の無心にやってきたが、分けるほどの余裕がなかったため、手ぶらで帰ってもらうしかなかったと述べている。

市場でコメや食料品を扱っていた人たちは、市場が閉鎖されても在庫を食べて生き延びることができるが、他の品物を扱っていた人たちは、食べ物が全くなく、新聞やテレビで宣伝している非常薬や食糧の配給がいつ行われるのか、気にしているとのことだ。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)慶源(キョンウォン)の情報筋は、現地が稲作地帯であるにもかかわらず、コメはおろか他の食べ物もめったに手に入らないと伝えた。

市場が閉鎖され、コメが買えなくなったため、稲作をやっている外戚の家で購入したが、1キロに6000北朝鮮ウォン(約120円)で購入。ロックダウンと比べて15%ほど上昇しているが、それでも安く売った、今は在庫がなく売れなくなったと言っているとのことだ。

戦時備蓄用の2号倉庫にある食糧を配給するとの話もあるが、依然として行われておらず、人民班長(町内会長)は、食糧が底をついた「絶糧世帯」のために、町内の家々を回ってトウモロコシ500グラムをかき集めて、分け与えたという。

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人々の間では、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」が再来するのではないかと不安が広がっている。

(参考記事:食糧難の北朝鮮、富裕層に「寄付のお願い」