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北朝鮮は、咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸州(ハムジュ)郡の連浦(リョンポ)地区に「連浦温室農場」を建設するとして、先月18日、金正恩総書記が参加して着工式を行った。

演説で「人民の生活向上に大きく寄与する近代的な農場」と人民愛をアピールした金正恩氏だが、当の人民からは不満の声が上がっていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

(参考記事:「重要軍事基地を野菜生産拠点に」金正恩氏、温室農場着工式で演説

温室農場の敷地はもともと軍のもので、広さ300万平米に達し、農場に加えて970戸の住宅、130棟の公共建築、生産関連施設を建設するというビッグプロジェクトで、これを今年10月10日の朝鮮労働党創建日までに完成させるという。

金正恩氏は、朝鮮人民軍に対して建設を一任するとしつつも、「咸鏡南道も積極に合流すべき」だとして、次のように述べている。

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咸鏡南道では、軍人建設者が工事を滞りなく推し進められるように骨材も十分に保障し、海岸地帯の特性に即して防風林を造成することをはじめ、温室農場の建設が力強く推進されるよう各面から支援しなければなりません。

これが不満のタネとなった。建設指揮部は、道内の各機関、企業所に建設財源の調達を割り当てたが、それは結局のところ一般住民から徴収される。その額は1人あたり30ドル(約3500円)。コメに換算すると40キロ分に相当する額だ。ただでさえコロナ鎖国による生活苦に追い込まれている北朝鮮国民の中に、負担できる人は極めて少ない。

情報筋は、4人家族が求められた通りの負担額を支払うには、2ヶ月を飲まず食わずで過ごさなければならないとし、それに加えて建設現場への動員もあるので、住民の負担が非常に重くなると述べた。

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一方、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の現地の情報筋は、現金で負担できない人々は、塩漬けにした白菜や大根を代わりに供出させられていると伝えた。朝鮮労働党咸鏡南道委員会は、「事情の許す分だけ出せばいい」として、強制ではない支援事業だと強調している。しかし、現金や物品を納めた人々を連日褒め称える形で、まだ出せていない人にプレッシャーを掛けているとのことだ。

また、温室農場が完成したところで、生産される野菜は周囲の海軍や航空・反航空軍(空軍・防空軍)に供給され、一般住民に供給される野菜が残るのかと、情報筋は反感を示している。

今の北朝鮮の経済事情に不釣り合いなほど大規模な農場を、住民から金品を絞り上げた上で、わずか半年あまりで建設するという今回の計画。金正恩氏は大風呂敷を広げたものの、他でも病院や住宅を建て散らかしている現状を考えると、予定日より大幅に遅れることは避けられないだろう。

(参考記事:金正恩氏が期待する平壌総合病院、年内完成か