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金正恩総書記が、2020年10月10日の朝鮮労働党創建日までに完成させると豪語していた平壌総合病院。それから1年以上が経ったが、未だに完成したとの話はない。

国営の朝鮮中央通信も、昨年9月に「平壌総合病院建設の外部仕上げ工事が進められる」という記事を出したのを最後に、関連記事を配信していない。そんな中で、当局は年内に開院させよとの指示を出したもようだ。

平壌のデイリーNK内部情報筋は、当局が内閣保健省に対して、設備とシステムを完成させ、今年中の開院を目標にしなければならないと指示したと伝えた。

朝鮮労働党の内部では、金正恩氏が政権についてから10年の成果という政治的意味にフォーカスし、病院のオープニングイベントを準備しているとのことだ。

金正恩氏は2020年3月17日に行われた着工式で、「この膨大な工事をこのように短時日の内に完了するというのは容易なことではありません」としつつも、「どんなことがあっても一日も早く平壌総合病院の建設を立派に完成して、病院が人民を迎えるようにしなければなりません」と強調していた。

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しかし、平時であっても大規模な総合病院をわずか7ヶ月で完成させるのは困難なこと。衛星写真の分析で外観は完成しているものと思われるが、国際社会の制裁とコロナ鎖国で資材や装備が調達できず、完成予定日を大幅に過ぎてしまった。

(参考記事:金正恩氏が平壌総合病院の着工式で行った演説全文

その完成目標を改めて示すことで、滞っていた作業に拍車をかけようとしていると思われる。だが、複数の情報筋によると、病院の外観工事は終わっているものの、医療設備の調達と内装工事が完了しておらず、技術大隊の1個旅団が残って、施設を管理しているに過ぎない。

当局は昨年から、保健省と貿易機関に対して、平壌総合病院の医療設備と医薬品を早急に調達するよう指示を出したが、未だに解決できていないものと思われる。

(参考記事:北朝鮮・両江道で2年ぶりに「国家密輸」再開

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ちなみに完成後の平壌総合病院は、朝鮮労働党を指す「母なる党」から取った、「母なる病院」として、全国の保健医療体制の中心的役割を担うと情報筋は伝えている。保健省の指示文は「平壌総合病院はすべての病院の母親の役割をしなければならない」「遠隔で手術や診療を指示し、地方で治療できない疾病も、平壌総合病院によって治療できるようにしなければならない」としているという。

年末までに完成にこぎつけたとして、金正恩氏が記念セレモニーに参加するかは不透明だ。情報筋は「元帥様(金正恩氏)は完工を指示したので、開院を指示したのではない」「党も元帥様の指示を守れなかったということを負担に感じている」としている。

予定日より大幅に遅れたことによって、自らの顔が潰された状態となった場に金正恩氏が本当にやってくるのか微妙だということだろう。また、彼の怒りの矛先がどこに向くかわからないという事情もある。そもそも、金正恩氏のスケジュールは超級国家秘密なので、この時点であらかじめ明らかになるということ自体、考えられないのだが。

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(参考記事:人命救助より「処刑」が先行…金正恩式「残酷病院」の現場