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北朝鮮で毎年、新年早々繰り広げられる「堆肥戦闘」。不足する化学肥料を補うための肥やしを作るために人糞を集めるというものだが、ノルマが過度に多いため、人糞の取り合いになることも少なくない。米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、北朝鮮各地で「人糞争奪戦」が起きていると伝えた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の情報筋によると、水南(スナム)区域の末陰洞(マルムドン)の複数の住民が、当局から課された堆肥生産の課題(ノルマ)をこなすために、隣接する新郷洞(シニャンドン)の公衆トイレに忍び込み、人糞を盗んでいた。物音に気づいたのか、新郷洞の住民がやってきて、窃盗をやめさせようとしたのだが、大げんかに発展し、問題になったという。

「新郷洞だけでなく、最近、堆肥生産課題による住民間の摩擦が頻繁に起きている」
「毎年今頃になれば繰り返される情けない現象」(情報筋)

(参考記事:一人あたり500キロの人糞集めから始まる北朝鮮の新年

地方政府は、中央の指示に基づき、各機関、企業所、学校、人民班(町内会)にノルマを割り与え、毎日のように早く納めろとせっつく。しかし、そもそも自分たちの人糞だけでは、とても達成できないほどノルマが多すぎて、他人のモノに手を出す人が相次ぐのだという。ちなみに人糞などで作って納めろと言われている堆肥のノルマは、1人あたり300キロだ。

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人民班は、人糞を盗まれまいと、夜間警備班を立ち上げ、町内の共同トイレを警備している。退勤後に「人糞警備」に駆り出され疲労困憊している住民の口から、不平不満が漏れるのは当然のことだろう。

初級中学校(中学校)、高級中学校(高校)、大学は冬休みの期間だが、生徒、学生が動員され、学校で人糞や腐植土をリアカーに入れて運ぶなど、堆肥生産に追われている。ただし、ノルマは課せられていないとのことだ。

「コロナを理由に学生を登校させなかった当局が、堆肥生産のために学生を動員している」(情報筋)

(参考記事:人糞を納めなければ市場に入れない北朝鮮の「堆肥パス」制度

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平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、現地は平野が多いため、人糞以外に堆肥の原料として使えるものが少ないとし、地元住民は腐植土の代わりに、下水処理場の堆積した汚泥を持ち去り、下水処理場管理機関との間でトラブルになっていると伝えた。

3月初めまでに協同農場に納めるよう指示されている堆肥は、自宅の人糞に、薪や石炭の灰、腐植土を一定の割合で混ぜて作ることになっている。しかし協同農場の幹部にワイロを掴ませて、その割合をごまかし、灰や土が多く混ざっているものでも、受け取ったことを示す「堆肥確認証」を発行してもらうケースも多いという。畑に撒く肥料を確保するための堆肥戦闘だが、ノルマが多すぎることで本末転倒な結果を生み出しているのだ。

(参考記事:冬の北朝鮮で暗躍する「人糞ブローカー」登場

北朝鮮は、リン酸肥料の工場を建設するなど、肥料の増産に力を入れているものの、原料となるリン鉱石が国内生産分だけでは賄えず、輸入に頼らざるを得ない。

(参考記事:金正恩氏、肥料工場の竣工式に参加…20日ぶり公開活動