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北朝鮮の長く辛い冬を乗り切るのに欠かせない貴重なビタミン供給源、キムチ。毎年この時期になると、各家庭で数百キロ単位でキムチを漬け込む「キムジャン」が行われる。

キムチ作りに欠かせないのが、トウガラシの粉。その価格が大暴落したとの話が伝わってきた。大喜びするはずの北朝鮮の消費者の動きは鈍い。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

他の地方よりいち早く、10月中旬からキムジャンの季節に入った両江道。去年の今頃、コロナ禍で皆が苦しい中でも、人々は市場に足を運び白菜や大根を買い求めたり、値段を調べたりしていたが、今年は客足が途絶えてしまった。

野菜不足に加え、恵山(ヘサン)の市場で白菜や大根の価格が2割ほど上がったことが影響して、キムジャンの開始が10日ほど遅れているのだ。だが、それが直接の原因ではないようだ。

(参考記事:キムチ用の「野菜確保」を巡り大騒ぎの北朝鮮

中央は、地方当局が野菜供給を自給自足で行うよう指示を出している。しかし地方は、コロナ対策を名目にした市場やイナゴ商人(露天商)に対する取り締まりに血眼になるばかりで、野菜の供給を円滑に行えていないようだ。

(参考記事:「助け合おう」「笑わせるな」北朝鮮の市場で当局VS女性商人の攻防

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一方でトウガラシの粉の価格は、本来キムジャンの季節を迎えて上昇するところが、1キロ1万5000北朝鮮ウォン(約345円)で昨年同期比で66.7%も大暴落した。供給が増えたわけではない。経済的ににっちもさっちもいかず、キムジャンを諦めた人が増えたことで、需要が減ったためだという。

北朝鮮国民がここまで追い込まれてしまったのは、当局の異常とも言うべきコロナ対策のせいに他ならない。昨年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐため、国境を封鎖し、一切の貿易を停止させた。現在はごく限られた量の輸入は行われているが、農作物の栽培に欠かせない肥料の供給は充分ではなく、各地から凶作が伝えられている。

穀物の作況も芳しくなく、その扱いを巡って朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が、農民を射殺する事件が起きるなど、食糧の取り合いとなっている。

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(参考記事:北朝鮮軍が「飢えた障害者」を射殺…「それでも人民の軍隊か」国民激怒